
地域産業が抱える課題は、人手不足や業務の効率化、技術の継承など、業種によって異なります。一方、企業だけで解決策を考えようとしても、日々の業務の中では新しい発想を得にくいことがあります。そこで注目されるのが、企業の現場に蓄積された知見と、大学や学生の柔軟な視点を組み合わせる産学官連携です。
地域の企業と教育機関が課題を共有し、ともにアイデアを考える機会は、企業にとっては新しい価値を見つけるきっかけとなり、学生にとっては地域の仕事や課題に触れる実践的な学びとなります。新潟県と株式会社NTT DXパートナーは、こうした出会いを生み出す業種別マッチングイベントを、2026年9月から2027年2月にかけて全3回開催します。
前年度の成果を受けて深掘りする3つの業種

イベントの会場となるのは、新潟市中央区のメディアシップ6階にある産学官交流拠点「SANKAKU」です。一般財団法人Ambitious NIIGATAが運営し、学びと交流の場として活用されています。
2025年度にも同会場でマッチングイベントが行われ、複数の企業と大学による共創事例が生まれました。参加企業にとっては、大学と連携する意義を知る機会にもなったといいます。
2026年度は、テーマを幅広く扱った前年度の取り組みから一歩進め、製造業、観光業、土木建設業の3業種に特化します。分野ごとの課題やニーズを深く掘り下げ、具体的な共創プロジェクトにつなげることを目指しています。
課題の共有から始まる共創アイデアづくり

各回では、県内企業と教育機関の教職員・学生がグループに分かれ、それぞれが持つ課題やニーズ、技術、知見を整理して共有します。その情報をもとに、地域産業の課題解決や新しい価値の創出につながるアイデアを検討し、参加者同士で発表と意見交換を行います。
プログラムは、イベントの趣旨を説明するオリエンテーション、ニーズ整理とアイデア創出に取り組む共創ワークショップ、検討した内容を共有する発表・交流会の3つのセッションで構成されます。単に企業と学生が顔を合わせるだけでなく、課題を言葉にし、解決策の形を一緒に考えるところまで踏み込む点が特徴です。
イベントから生まれたアイデアについては、参加者同士の交流や連携を促し、具体的な共創プロジェクトへ発展するよう支援していくとしています。
製造・観光・土木建設をテーマに全3回開催
第1回は製造業をテーマに2026年9月24日、第2回は観光業をテーマに同年11月25日、第3回は土木建設業をテーマに2027年2月25日に開催されます。
対象は、各回のテーマとなる業種に関わる企業と、大学などの教職員・学生です。参加費は無料ですが事前の申し込みが必要となります。プログラムの詳細や申し込みの開始時期は、決まり次第「Ambitious NIIGATA」のホームページなどで案内される予定です。
異なる立場の視点が地域の課題を動かすきっかけに
地域産業の課題は、現場に近い企業だからこそ具体的に捉えられる一方、日常の業務に追われる中では、従来とは異なる解決策を考える時間や接点を持ちにくいものです。そこに教育機関の知見や学生ならではの率直な発想が加わることで、これまでとは違う角度から課題を見直すきっかけが生まれます。
今回のイベントは、製造・観光・土木建設という異なる分野を一括りにせず、業種ごとに対話を深める構成です。すぐに事業化できる案を生み出すことだけでなく、企業と大学、学生が互いの考え方や得意分野を知り、継続的につながることにも意味がありそうです。企業の課題が学生の学びとなり、学生の発想が地域の新しい取り組みへ変わっていくのか。全3回の交流から生まれる共創の行方が注目されます。

