
訪日外国人に向けた商品やサービスを考えるとき、「魅力をどう伝えればよいのか分からない」「外国人のお客様が不便に感じる点に気づけない」「セミナーで学んでも、現場での改善につなげにくい」と感じる事業者もいるのではないでしょうか。言語を置き換えるだけでは、相手が知りたい情報や行動のきっかけまで十分に伝わらないことがあります。大切になるのは、受け手の目線から商品や地域を見直し、率直な反応を確かめる機会です。現場での判断に結びつけるには、知識と体験を行き来する仕組みも必要です。
そうした中、株式会社ワン・ステップは、観光協会や自治体、商業施設、宿泊・飲食・小売事業者などを対象に、インバウンド集客・販売を学ぶ講演と、外国人が参加する体験型研修を組み合わせたプログラムを展開します。70カ国1,000人を超える外国人ネットワークと、各地でのモニター調査やツアーの経験を生かし、知識を得る座学から、当事者の声を聞く実践までを一度に体験できる点が特徴です。2026年10月1日には公式サイトもリニューアルされました。
「伝える」前に確かめたい外国人観光客の視点
インバウンド施策では、施設や商品の魅力を日本側の感覚だけで整理してしまうことがあります。しかし、外国人観光客が関心を持つものや、不便に感じる場面、旅行前後に参考にする情報は、日本人の想定と同じとは限りません。
今回のプログラムが重視するのは、何を伝えるかに加え、外国人がどのように受け止め、何を手がかりに行動するのかを知ることです。講演と対話、現地体験を組み合わせることで、外国人の視点を集客や販売、サービス改善へつなげる流れを用意しています。
基礎と事例から学ぶ「明日から使える」講演編
講演編では、代表取締役の石川雄大さんが、インバウンド集客・販売の基本と、同社が実践してきた取り組みを紹介します。外国人観光客の行動や情報収集の特徴をはじめ、SNS、Googleマップ、口コミを活用した集客、外国人に伝わる商品・サービスの見せ方などを扱います。

観光案内所の運営やインバウンド事業における成功・失敗事例、外国人の意見を施策へ取り入れる方法もテーマです。一般的な知識だけでなく、現場で得た経験を交えて学べるため、自社や地域に置き換えて考える土台になりそうです。
外国人と一緒に強みと課題を探る実践編
実践編は、研修の目的に合わせて外国人メンバーが参加し、日本人の参加者と一緒に商品や観光地、サービスを評価するワークショップです。地域の観光資源がどのように映るのかを確かめたり、飲食店のメニューや商品の説明方法について意見を交わしたりできます。

講師の説明を一方的に聞く形ではなく、外国人参加者へその場で質問し、本音を聞きながら検討できるのがポイントです。事業者側が強みだと考えていた部分が別の印象で受け取られる一方、普段は見過ごしていたものに魅力が見いだされることもあるかもしれません。対話を通じて、改善点だけでなく、新たな伝え方を探る機会にもなります。
現地での体験から改善点を整理するモニターツアー
現地体験編では、外国人メンバーが観光地や施設を訪れ、商品・サービスを実際に体験します。その後の意見交換と振り返りを通じて、地域の魅力や利用時の課題を整理する構成です。外国人の参加人数や国籍、実施時間、研修内容は、開催目的に応じて調整されます。

ワン・ステップはこれまでも、全国で外国人モニター調査やモニターツアー、意見交換会を実施してきました。座学と実践を別々に行っていた企業や団体にとって、一度のプログラムで知識を得て、実際の反応まで確かめられることは、施策を具体化する助けになりそうです。

来場者約2倍を支えた観光案内所での実践経験
講演・研修の背景には、渋谷駅前の観光案内所「shibuya-san」で培った運営経験があります。同施設では外国人スタッフが中心となり、観光案内や地域情報の提供、荷物預かりなどを担当してきました。観光客と日々接する中で、求められる情報やサービスを把握し、改善へつなげてきたといいます。
2022年から2025年にかけて、年間来場者数は約2.0倍、荷物預かり件数は約8.7倍に増加しました。また、ドイツ出身のミリアム・グリットナーさんがインバウンド集客アドバイザーとして企画・制作・運営に携わり、多国籍チームの運営を経験しています。日本人経営者と外国人スタッフ、双方の視点がプログラムに反映されています。

学びと対話を同じ場に置くインバウンド施策
インバウンド対応では、知識を得ることと、外国人の率直な声を聞くことのどちらも欠かせません。今回のプログラムは、講演、ワークショップ、モニターツアーを目的に合わせて組み合わせ、理解から検証までを一つの流れにした点が印象的です。70カ国1,000人を超えるネットワークに加え、観光案内所や各地の現場で積み重ねた経験が、話を聞くだけで終わらない学びを支えています。
外国人の視点を取り入れることは、海外向けに特別なものを新しく用意するだけでなく、今ある地域資源や商品の価値を別の角度から見直すきっかけにもなります。実際の利用者と対話し、小さな違和感や意外な評価を一つずつ確かめることが、より伝わりやすく利用しやすいサービスへの第一歩になりそうです。施策を担う人が答えを決めつけず、受け手とともに魅力や課題を見つめ直す姿勢にもつながります。

