
日々の企業活動を支える総務、人事、経理などのバックオフィス業務。正確さが求められる一方、紙の書類や手入力、担当者ごとに異なる進め方が残りやすく、業務負担や属人化に悩む企業も少なくありません。近年はクラウドサービスに加えてAIの活用も進み、「どの業務から変えればよいのか」「自社に合う仕組みは何か」を具体的に考える機会が求められています。
そうしたバックオフィスの現在とこれからを体感できる場として、ピー・シー・エー株式会社(以下、PCA)は、企業向けビジネスイベント「PCAフェス2026」を開催しました。大阪では2026年8月4日、東京では8月7日に行われ、2会場合わせて約3,000人が来場。AIやクラウドをどのように実務へ取り入れるのか、展示やセミナー、導入事例を通じて紹介されました。
「働く」を幸せにつなげる2都市でのビジネスイベント
2026年のテーマは「『働く』を、みんなの『幸せ』に。」です。会場では、財務経理・人事労務・販売管理をワンストップで支援する基幹業務クラウドサービス『PCA Arch』を中心に、バックオフィス業務の改善につながるソリューションが紹介されました。
講演には、東京・大阪の両会場にシドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんが登壇。東京会場では参議院議員・AIエンジニアの安野貴博さんと、株式会社サイゼリヤ元社長の堀埜一成さん、大阪会場では参議院議員・弁護士・前明石市長の泉房穂さんが講演しました。多様な分野で活動する登壇者の話に触れられる点も、多くの来場者の関心を集めたようです。
デモと対話で見えてきたAI活用の具体像
展示会場には、『PCA Arch』や『PCA Hub』シリーズをはじめ、バックオフィスを支援する各種サービスが並びました。出展パートナー各社からもPCA製品と連携する幅広いソリューションが紹介され、来場者はデモンストレーションを見ながら、担当者へ直接質問していました。
「PCAミニシアター」では、まかせんしゃい井上さんがAIエージェントを搭載した『PCA Arch』を解説しました。社内ナレッジへの質問に答える機能やデータ分析、複数のシステムをまたぐ業務の自動化など、AIが実際の仕事をどのように支えるのかが分かりやすく示されました。
単に機能の説明を聞くだけではなく、実際の動きを見て、疑問をその場で確かめられることが展示イベントの魅力です。AIという言葉を身近な業務へ置き換えて考える機会になったといえそうです。

運用スタイルから考える二つのクラウドサービス
セミナーでは、『PCA Arch』と『PCAクラウド』の違いや、企業の業務内容に応じた選び方も取り上げられました。
『PCA Arch』は、財務経理・人事労務・販売管理をまとめて支援するサービスです。クラウドストレージサービス『eDOC for PCA Arch』とAIアシスタント機能を標準搭載し、データ容量の多い企業やグループ企業での利用も想定されています。3つの業務プランに経費精算、法定調書、固定資産などのオプションを組み合わせられるため、必要な範囲に合わせて構成できます。
一方、2008年に提供を開始した『PCAクラウド』は、財務会計、人事、給与、販売管理、固定資産、法人税などのラインアップから、必要なソフトを個別に利用できる点が特徴です。ライセンス数も柔軟に変更できます。機能の多さだけで決めるのではなく、業務のまとまりや利用人数、既存システムとの関係を整理することが、選択の第一歩になりそうです。

紙の年末調整をWeb上で完結する仕組み
『PCA Hub 年末調整』を扱ったセミナーでは、申告書の記入ミス、書類の配布・回収、提出状況の管理といった、紙による年末調整の課題が紹介されました。
同サービスでは、従業員がパソコンやスマートフォンから申告情報を入力・提出できます。担当者による提出状況の確認や、不備があった場合の差し戻しもWeb上で行えるため、紙をやり取りする負担の軽減につながります。『PCA給与』シリーズとのデータ連携により、従業員が入力した情報を給与システムへ取り込める点も特徴です。
年末調整が本格化する10月上旬までに準備を進めるなど、導入時期を逆算する必要性も説明されました。PCAはこのほか、基礎知識や法改正、実務演習を学べる「年末調整実践塾」や、操作方法を確認できる「年末調整サポート動画」も提供しています。

手書きの経費精算を見直した7〜8割の時間削減
『PCA Hub 経費精算』の導入事例セミナーには、有限会社オフィスオーエーが登壇しました。同社では導入前、月約70件の経費精算を手書きで処理しており、申請書の作成に加え、外出中の承認者による確認の遅れや、経理担当者による現金精算などが負担になっていました。
導入の決め手となったのは、ペーパーレス化、場所を選ばない承認、『PCA会計クラウド』との仕訳連携です。導入後はスマートフォンによる領収書の撮影や交通系ICカードの読み取り、外出先での承認が可能になりました。会計ソフトとの連携や現金精算の廃止も進み、申請・承認・経理処理にかかる業務時間を約7〜8割削減したと紹介されています。
最初から全社へ広げるのではなく、無料体験や一部部署から始める「スモールステップ」も示されました。現場の使い方を確かめながら段階的に移行することは、デジタル化への不安を抑える方法の一つといえそうです。

働き方の変化を実務へ落とし込む一歩
来場者アンケートには、AIによる業務効率化への驚きや、ソフトの枠を越えた連携・分析への期待、さまざまな企業の実体験を聞けたことへの評価が寄せられました。約3,000人が足を運んだことからも、バックオフィスDXやAI活用を具体的に学びたいという関心の高さがうかがえます。
今回紹介された内容で印象的なのは、AIやクラウドを新しい技術として見せるだけでなく、年末調整の書類回収や経費申請、会計データへの入力といった身近な仕事に結び付けていた点です。業務改善は、大きな仕組みを一度に導入することだけではありません。負担の大きい工程を見つけ、現場に合うサービスを選び、小さな範囲から試すことも一つの進め方です。「働く」を幸せにつなげるには、便利な機能に注目するだけでなく、誰のどの負担を減らしたいのかを丁寧に整理することが大切になりそうです。

