着なくなった服が新たな資源へ オンワードの衣料品回収が累計1,000万点を突破

クローゼットを整理したとき、「まだ着られるけれど、手放す方法が分からない」と迷った経験はないでしょうか。衣料品は暮らしに欠かせない一方、役目を終えた服をどのように循環させるかは、消費者と企業の双方に関わる課題です。店頭などで参加できる回収活動は、こうした問題を自分に近いところから考えるきっかけになります。

オンワードホールディングスは、全国の店舗やオンラインなどで展開する「オンワード・グリーン・キャンペーン」の衣料品回収数が、累計1,000万点を突破したと発表しました。2009年に始まった取り組みは2026年で18年目を迎え、服を集めるだけでなく、リユースやリサイクルを通じて次の用途へつなげています。

約201万人の参加で積み重ねた1,031万点

2009年5月から2026年8月末までに回収された衣料品は約1,031万点、参加者は約201万人にのぼります。回収は全国の店舗や各拠点で行われ、2023年春からはオンラインでの受け付けも始まりました。

オンワードホールディングスの山﨑圭子さんは、顧客やパートナー企業への感謝とともに、一人ひとりの小さな行動が環境負荷の低減につながるとコメントしています。長い期間にわたって参加の機会が設けられてきたことが、大きな数字へ結びついたといえそうです。

同社は今後、回収拠点の拡大やリサイクル技術の活用に向けて、さまざまなパートナーとの連携を進める方針です。2030年度には、年間200万点の回収を目標に掲げています。

回収した服を毛布や軍手、支援物資へ

「オンワード・グリーン・キャンペーン」で引き取られた衣料品は、焼却や埋め立てに回すのではなく、状態や素材などに応じて活用されます。

リサイクルされた衣料品の用途は、毛布や軍手、自動車の内装材、代替エネルギーとなるRPFなどです。繊維製品の原料となるリサイクル糸も作られています。

なかでもリサイクル毛布は、日本赤十字社の協力を得て、国内外の被災地や開発途上国へ寄贈されてきました。現地へ社員が足を運び、支援先へ直接届けることも活動の方針とされています。軍手も災害支援や森林保全、啓発活動など、さまざまな場面で活用されています。

<リサイクル毛布寄贈実績>

※第1回~第2回は「UNHCR」を通じて寄贈。第3回以降から「日本赤十字社」を通じて寄贈。

捨てずに価値を変えるアップサイクルの試み

2024年には、回収衣料品に新たな価値を加える「アップサイクル・アクション」が始まりました。ファッション企業が持つ発想力やものづくりの技術を生かし、不要になった服を別の作品へと生まれ変わらせる取り組みです。

参加者はオンワードグループの社員に限りません。ファッション業界を目指す学生や小中学生も加わり、衣料品の循環を体験しながら学ぶ機会にもなっています。完成したものだけでなく、素材に触れ、使い道を考え、手を動かす過程そのものが、服と環境の関係を身近に捉えるきっかけになりそうです。

4〜5回の検品を経て次の持ち主へ

まだ使用できる衣料品は、東京・吉祥寺の「オンワード・リユースパーク」やECサイトで販売されています。

販売前には自社で4〜5回の検品を行い、基準を満たしたものだけをリユース品として提供します。吉祥寺の店舗では常時3,000点以上をそろえ、チャリティー価格で販売。得られた収益は、同社のサステナブル活動に活用されています。

回収後の用途が一つに限られず、状態の良い服は再び誰かに着てもらい、それ以外のものも素材や製品として生かす仕組みです。服の価値をできるだけ長く保ちながら、次の行き先を用意している点が特徴です。

1,000万点が映し出す身近な循環の形

累計1,000万点という実績の背景には、服を持ち込んだ約201万人の小さな選択があります。不要になった衣料品を一括して「ごみ」と考えるのではなく、状態に応じて再販売し、素材として再生し、ときには支援物資や新しい作品へ変えていく。出口まで見据えた複数の活用方法が用意されていることは、資源循環を継続するうえで大切なポイントです。

サステナブルという言葉は大きく聞こえますが、始まりはクローゼットに眠る一着をどうするかという身近な判断です。回収場所や再利用後の行き先が分かりやすくなれば、無理なく参加できる人も増えていくでしょう。18年にわたる活動と今回の節目は、衣料品の循環が特別な行動ではなく、日常の選択肢として定着していく可能性を感じさせます。

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