
身体を動かすことが健康に大切だと分かっていても、運動を習慣にするのは簡単ではありません。トレーニングは苦手でも、家族や仲間と遊ぶように楽しめる運動なら、続けやすいと感じる人もいるでしょう。ゲームのような高揚感と運動を組み合わせた体験は、新しい一歩のきっかけになりそうです。
一方、地域のフィットネスクラブには、日常的な運動の場にとどまらず、子どもの育成や住民同士の交流、企業の健康づくりを支える役割も期待されています。こうした中、ARスポーツ「HADO」を展開する株式会社meleapと、山形県でフィットネスクラブなどを運営する株式会社セルヴァンは、「HADO×フィットネス 地域活性化プロジェクト協定」を締結しました。両社は全国の地域フィットネスクラブへの導入を進め、幅広い世代が楽しみながら身体を動かせる環境づくりに取り組みます。
ゲームの戦略性が運動を身近にする「HADO」
HADOは、AR(拡張現実)技術を使い、現実のコート上でエナジーボールやシールドを駆使して対戦するスポーツです。プレイヤーは相手の攻撃を避けながら実際に身体を動かし、仲間と作戦を立てて試合に臨みます。運動にゲームらしい戦略性やデジタル演出が加わるため、年齢を問わず一緒に楽しみやすい点が特徴です。

meleapはこれまで、HADOを競技やエンターテインメントだけでなく、学校教育、地域行事、企業イベントなどにも展開してきました。地域住民と継続的な接点を持つフィットネスクラブに導入することで、単発の体験会に終わらない運動機会へ育てる考えです。
今回の協定では、meleapがコンテンツとシステムを提供し、セルヴァンがフィットネスクラブへの提案や運営、収益化を支援します。両社の知見を持ち寄り、体験できる場所を増やすと同時に、それぞれの地域で継続して活用できる仕組みを検討していきます。

クラブと地域企業を結ぶ新たな健康づくり
プロジェクトの柱の一つが、全国の地域フィットネスクラブへのHADO導入です。新しいプログラムやイベント、スクールへの活用を検討し、クラブにとってのサービスや収益機会につながる運営モデルを目指します。
地域企業に向けては、社内レクリエーションやチームビルディング、企業対抗戦などのプログラムを開発する計画です。フィットネスクラブが地域企業との接点になり、従業員が身体を動かしながら自然に会話し、交流を深める場をつくります。

作戦を考え、仲間と試すジュニアスポーツ
子ども向けには、HADOスクールや地域大会の展開が想定されています。走る、避けるといった動きだけでなく、仲間と作戦を考え、実践し、結果を振り返って改善することもHADOの楽しさです。勝敗だけに偏らず、試行錯誤やチームでの協力を経験できるスポーツとして、子どもたちが継続的に参加できる環境づくりを進めます。
さらに、部活動の地域展開を含め、学校や自治体との連携も検討されています。地域のフィットネスクラブを、学校、自治体、住民をつなぐスポーツ拠点の一つとして活用する構想です。
将来的には大学や自治体とも協力し、HADOの継続体験が身体活動や健康増進に与える影響を検証するとしています。健康増進効果や医療費削減の可能性については、今後、中長期的に根拠を積み重ねていく方針です。
地域に合った活用モデルをつくる仲間探し
両社は、趣旨に賛同する地域フィットネスクラブやスポーツ施設、事業者などを対象に、プロジェクトの参画パートナーも募集しています。新しいスポーツプログラムを導入したい施設、子どもや家族との接点を増やしたい事業者、地域大会を開きたい団体、学校や自治体との事業を広げたい組織などを想定しています。
参画パートナーは協定の当事者になるわけではありません。導入の有無をはじめ、機材、ライセンス、料金、支援内容などは、各事業者と個別に話し合って決められます。地域の状況や目的に応じた活用が考えられている点も特徴です。
山形での実践から全国の地域スポーツへ

協定締結にあたり、2026年9月27日には「HADO ARENA お台場店」で調印式が行われました。meleap代表取締役CEOの福田浩士さんと、セルヴァン代表取締役の東海林武さんが出席し、地域フィットネスクラブを起点にHADOを全国へ広げる連携について意見を交わしました。当日は「HADO Middle CUP」も開催され、選手による競技や来場者の交流も生まれました。

福田さんは、テクノロジーによって身体を動かすこと自体を楽しい体験へ変え、運動になじみの薄い人にもきっかけを届けたいとコメントしています。
東海林さんは、2022年5月に「HADO FIELD エスポート山形」を開設し、子どもから大人までがHADOを楽しむ姿を見てきました。競技を「する」だけでなく、「見る」「応援する」といった楽しみ方にも可能性を感じたと振り返っています。
楽しさを入口に、人と地域がつながる運動習慣
今回の協定で印象的なのは、HADOを一時的な催しとして広げるだけではなく、地域のフィットネスクラブを継続的な運動と交流の拠点にしようとしている点です。子どものスクール、企業の健康づくり、学校や自治体との連携、大会を通じたコミュニティ形成まで、一つのスポーツを複数の場面へつなげる構想が示されています。
運動習慣は、健康への意識だけで続くとは限りません。仲間と作戦を考える面白さや、応援する楽しさ、地域で顔を合わせる機会が加われば、「身体を動かすこと」への心理的なハードルも少し下がるかもしれません。一方で、健康増進などの効果はこれから検証される段階です。各地域の特性に合わせた運営と根拠の蓄積が進み、年齢や運動経験を問わず参加できる選択肢として、どのような定着を見せるのか注目されます。

