
近年、モノの価値を再発見し、次の使い手へつなぐ「リユース」市場。その拡大の勢いはとどまるところを知りません。こうした市場の成長を背景に、買取専門店「まねきや」を中心に自社オークションや特化型小売店舗などを展開する株式会社水野が2026年9月28日(⽉)、コンラッド東京にて「株式会社水野 成長戦略発表会」を開催しました。
同社は、2026年6月期の売上高137億円から3年後の2029年6月期には約7倍となる1,000億円の売上規模を目指す、注目の急成長企業。本発表会では、代表取締役社長の水野政行氏より、社名・ロゴ変更に込めた意図や背景とともに、中長期的な成長戦略、そしてAIやテクノロジーを活用した鑑定の高度化など、リユースとテクノロジーを掛け合わせた非連続な成長の展望について力強く語られました。
AIとテクノロジーで業界を革新。3年で売上1,000億円を目指す成長ロードマップ
水野社長は、2029年6月期に売上高1,000億円を達成するための成長戦略として、「店舗・FC網の拡大と出張買取の強化」「AI・テクノロジーの活用」「M&A・海外戦略」の3つの柱を提示しました。

成長を支える中核基盤となるのが、AIテクノロジーの活用。現在、店舗に導入しているAI査定機は、スマートフォンで撮影した画像を数秒で解析し、1分以内で真贋判定を行います。専門的な知識がないスタッフでも正確な査定を行える仕組みを構築することで属人性を完全に排除し、FC展開を飛躍的に加速。水野社長は、「将来的にはAIを駆使した無人の買取店舗の実現を目指す」と語り、テクノロジーによる事業革新への確かな自信を覗かせました。
新社名「MUGEN VISION」へ。クリエイティブディレクター水野学氏が明かす新ブランドの想い
さらなる飛躍に向け、同社は2026年11月1日より社名を「MUGEN VISION株式会社(ムゲンヴィジョン)」へと変更します。新コーポレートロゴと企業理念の制作を監修したのは、日本を代表するクリエイティブディレクターの水野学氏。

会場で上映されたビデオメッセージの中で、水野学氏は次のように語りました。
「打ち合わせの中で一番印象に残っているのが、水野社長の強い意志でした。歴史上、未来を変えてきたのはいつの時代も強い意志です。水野社長と話し合いながら、その意志を社名やデザインとして導き出していきました。世の中をより良くする一つの道標となることを期待しています」
これを受け、水野社長は経営哲学を「誇れる会社を。」、そして大義である新たな企業理念を「めぐりだすをつくる。」と発表。単なる買取事業を超え、モノの価値を社会に循環させるインフラ構築への決意を鮮明にしています。
90兆円の「隠れ資産」が市場を押し上げる。岸博幸教授が語るリユースの未来
続いて登壇したのは、慶應義塾大学大学院教授であり経済評論家の岸博幸氏。「日本のリユース市場の現状と将来性」をテーマに、市場が今後も圧倒的に伸び続ける3つの理由を解説しました。

1つ目は、物価高による生活防衛の意識。賢い消費が求められる中、リユース市場は消費者の強力な味方となります。2つ目は、異常気象などを背景とした環境意識の高まり。そして3つ目は、所有から利用(シェア・サブスク)への価値観のシフト。
さらに岸教授は、1年以上使用されていない家庭に眠る「隠れ資産」が約90兆円に上ると指摘。「この莫大な資産が市場に出てくれば、供給の側面からもリユース市場には極めて大きな成長余地がある」と断言し、市場の明るい未来を強調しました。
リユースは日本経済を支える成長産業。「売る」から「めぐる」社会へ
後半は、次の3つのテーマについて、水野社長と岸博幸教授によるパネルディスカッションが繰り広げられました。

【テーマ1】なぜ今、リユース市場が伸びているのか
物価高を背景に変化する消費者の購買行動。水野社長は、「現場から見ても、中古品を買う・売るという文化が確実に根付いてきており、店舗への来客数も伸びています」と語ります。岸教授も、消費者が「賢く暮らす」ためにリユース市場を積極的に活用している現状を指摘しました。
【テーマ2】人手不足時代、リユース業界はどう変わる?
あらゆる業界が直面する人手不足の波。リユース業界も例外ではありません。水野社長は、熟練鑑定士の知識に依存してきた査定業務からの脱却を図るため、「仕組みや店舗マネジメントの強化に加え、AIをどう活用していくかが極めて重要」と回答。「AIで判定できる領域を広げ、多くのデータを組み合わせることで精度を高めていく。専門家でなくても対応できる仕組みづくりが、業界を変えていくポイントです」と語り、テクノロジーと人の力の最適な融合モデルの構築を進めていることを明かしました。
【テーマ3】モノの価値を、どう循環させていくのか
「世界情勢が変化しグローバル化が分断されていく時代において、資源のない日本が国民生活を豊かに維持するためには、循環型社会を拡大していくことが非常に重要です」と語る岸教授。これに対し水野社長は、「これまでの『売る』という行為から、モノの価値を次の人へつないでいく『めぐる』という考え方に変えていきたい。透明性や安心感を高めながら、モノだけでなく、そこに込められた思いや価値まで次の使い手へつないでいくことが、これからのリユース企業の役割だと考えています」と力強く意気込みを語りました。
新たな価値を生み出す産業へ。MUGEN VISIONの挑戦
「不要品を売る」時代から、「価値を社会に循環させる」時代へ。今回の発表会で示されたのは、単なるビジュアルの刷新や売上目標の提示ではありません。AIとデータを駆使し、リユースを「新しい価値を生み出す産業」として確固たるものにするという、株式会社水野の強い決意。新社名「MUGEN VISION」のもと、持続可能な循環型社会のインフラ構築を牽引する同社。その新たな挑戦から、今後も目が離せません。

