
地域のプロスポーツクラブは、試合運営やチーム強化だけでなく、スポンサー対応、地域連携、ファンづくり、事業開発など、多くの役割を担う存在になっています。一方で、専門的なビジネス人材を十分に確保することは簡単ではありません。「必要な企画を進めたいが人手が足りない」「外部の知見を取り入れたい」「地域外の人材とつながるきっかけが少ない」といった悩みを抱えるクラブも少なくなさそうです。
そうした中、パーソルキャリアのプロフェッショナル人材の総合活用支援サービス「HiPro」は、都市部の副業・フリーランス人材と地域のプロスポーツクラブをつなぐ「スキルリターン with SPORTS」を本格始動しました。B.LEAGUEとの連携のもと、2026年度中に60件のマッチング創出を目指す取り組みです。
地域クラブが直面する「ビジネス人材」の壁
地域のプロスポーツクラブには、競技面の活動に加えて、地域活性化の担い手としての期待も寄せられています。クラブが地域に根づき、持続的に成長していくためには、営業、マーケティング、組織づくり、企画推進など、幅広いビジネス領域の力が欠かせません。
ただ、スポーツに仕事として関わりたい人がいる一方で、地域のクラブが他地域から人材を呼び込む仕組みはまだ十分に整っていない面があります。必要なスキルを持つ人材と、クラブ側の課題が出会いにくいことが、成長の壁のひとつになっているといえそうです。
B.LEAGUE連携で始まる新しい人材活用
パーソルキャリアは2026年4月から、B.LEAGUEおよび所属クラブの採用活動を支援する連携を始めています。B.LEAGUEは「強化」「経営」「社会性」の3つを軸に掲げており、その中でも「社会性」では地域活性化への貢献が重視されています。
5月28日に開催された事業方針発表会では、「スキルリターン with SPORTS」の展開方針やB.LEAGUEとの連携開始が紹介されました。先行して連携を進めるベルテックス静岡の事例や、副業人材の参画予定、B.LEAGUE関係者を交えたトークセッションも行われ、スポーツと外部人材の関わり方が具体的に示されています。
県外人材と地域間シェアで支える仕組み

今回の「スキルリターン with SPORTS」は、HiProが2023年から展開してきた、都市部の副業・フリーランス人材と地域企業をつなぐ「スキルリターン」を、地域のプロスポーツクラブ向けに広げるものです。クラブの事業や運営を支える人材と出会う機会をつくり、クラブの成長を通じて地域にも良い循環を生み出すことを目指しています。

施策は主に2つです。ひとつは、都市部を中心とした県外から副業・フリーランス人材を募集し、クラブの事業・運営課題の解決につなげる取り組みです。専門性だけでなく、地域やクラブへの貢献意欲を持つ人材の参画を促す点が特徴です。
もうひとつは、地域間での人材シェアリングです。「HiPro Direct」が提供する相互副業マッチングプラットフォームを活用し、クラブを起点に地域企業間で人材を受け入れ合う仕組みを進めます。対面での業務ニーズにも対応しやすくなり、地域の中で人材の力を循環させる可能性が見えてきます。
副業だけではない複数の選択肢
人材ニーズは副業・フリーランスだけに限られません。そのため、「HiPro」と転職サービス「doda」が連携し、正社員領域も含めて地域のプロスポーツクラブを支援する方針です。
クラブによって、すぐに必要な専門スキル、継続的に組織を支える人材、地域企業との連携によって補える役割は異なります。副業・フリーランス、相互副業、正社員採用を組み合わせることで、クラブごとの状況に合わせた人材活用を考えやすくなる点も、この取り組みの大きなポイントです。
ベルテックス静岡で進む先行事例

先行施策として、2026年1月からベルテックス静岡との取り組みも進められています。同クラブでは、持続的な企業価値向上やBプレミア昇格に向けて、人や組織をより強くしていく必要がある一方、重要テーマを実行するスキルを持つ人材が不足しているという課題がありました。
参画予定の副業人材として紹介されているのは、首都圏在住で大手企業に勤めるA氏です。本業で培ったプロジェクト管理や推進、情報収集とアウトプット化のスキルに加え、柔軟に物事をとらえて進める人柄が決め手になったとされています。地域外で働く人の経験が、クラブの現場課題に活かされる例として注目されます。
特設サイト:https://hipro-job.jp/skilljunkan/skillreturn/withsports/
スポーツを入口に地域と人材がつながる
今回の取り組みで印象的なのは、スポーツクラブを単なる競技運営の場としてではなく、地域の事業や人材が交わる入口として捉えている点です。副業・フリーランス人材にとっては、自分の専門性をスポーツや地域に活かす機会になり、クラブにとっては不足しがちなビジネススキルを柔軟に取り入れる選択肢になります。B.LEAGUEとの連携を通じて事例が増えていけば、地域クラブの成長だけでなく、地域で働くことの新しい形を考えるきっかけにもなりそうです。

