AI社会実装の現在地を競う INTLOOPピッチでMalmeが2冠獲得

AIの活用は、いま多くの企業にとって実験段階から実務への導入段階へと移りつつあります。業務効率化だけでなく、専門領域の知見継承、人手不足への対応、新しいサービスづくりなど、AIが関わるテーマは幅広くなっています。そうした中で注目されるのが、具体的な現場課題に向き合うスタートアップの存在です。

INTLOOP株式会社は、2026年6月10日に開催したカンファレンス「INTLOOP Ventures MIX 2026」内で、AIスタートアップ9社によるピッチコンテスト「INTLOOP AI Frontier Pitch」を実施しました。テーマは「共創が拓くAIの社会実装」。審査の結果、土木実務支援AI「CiviLink」を提供する株式会社Malmeが、グランプリとオーディエンス賞の2冠を受賞しました。

「共創が拓くAIの社会実装」がテーマに

「INTLOOP AI Frontier Pitch」は、AI技術の革新性や社会実装へのインパクト、実行力を持つスタートアップを対象にしたピッチコンテストです。事前選考を通過した9社が、それぞれ5分間のピッチを行い、VC、事業会社、スポンサー企業による審査に加え、来場者投票によるオーディエンス賞も設けられました。

グランプリ受賞企業には、INTLOOPがプラチナスポンサーとして参加する「第4回 ITキャリア推進協会 シリコンバレー視察」への招待が用意されています。オーディエンス賞の受賞企業には、スタートアップメディア「Unicorn Journal」への掲載が予定されています。また、イベントスポンサー東海東京証券賞では、東海東京証券が展開するサロン「オルクドール」でのランチ提供などが授与されました。

土木実務支援AI「CiviLink」が2冠に

グランプリとオーディエンス賞を受賞した株式会社Malmeは、「ドボクをアップデートする」を合言葉に、土木業界の構造課題に取り組むスタートアップです。インフラ老朽化、深刻な人材不足、技術継承といった課題に対し、土木エンジニアとITエンジニアによる技術者集団としてサービスを展開しています。

同社が提供する「CiviLink」は、土木実務を支援するAI図面管理プラットフォームです。AIによる図面チェック代行や、現場知見の継承を支える仕組みが紹介されています。顧客170社の実績を持ち、インフラメンテナンスのAI改善市場で事業拡大を目指している点も特徴です。代表取締役の高取佑さんは、会場の来場者から選ばれたことへの喜びとともに、AIを人の組織や文化、企業に根付かせることに向き合いたいとコメントしています。

物流課題に向き合うロボトラックも受賞

東海東京証券賞を受賞したのは、自動運転トラックの社会実装を目指す株式会社ロボトラックです。同社は、ドライバー不足、長時間労働、低賃金といった物流業界の構造問題に向き合い、トラック向け自動運転システムの研究開発を進めています。

紹介された内容では、国産唯一の大型トラック自動運転システムを開発していることや、2030年度に1,000台の社会実装を掲げる政府ロードマップに沿って、2028年度から関東〜関西間での商用展開を計画していることが示されています。代表取締役CEOの羽賀雄介さんは、東海東京証券のネットワークを通じた経営者や投資家との接点に期待を寄せ、今回の機会を事業前進のきっかけにしたいと述べています。

審査員コメントに見るAI活用の現在地

登壇企業は、株式会社ロボトラック、株式会社フォワード、カサナレ株式会社、株式会社Wunderbar、株式会社SYSLEA、株式会社hootfolio、株式会社Malme、Aladdin Security株式会社、株式会社Kikuviの9社でした。業務効率化にとどまらず、専門領域の課題解決やグローバル展開を見据えたサービスが並んだことがうかがえます。

審査員からは、限られた時間の中でも続きを聞きたくなる質の高いピッチが多かったこと、AIの実践活用とグローバル展開を見据えた取り組みが本格化していることなどが語られました。また、特定の業種や業務に特化した形でAIを実装していく動きについて、これまでDXが進みにくかった領域にも確かな手応えが生まれているという見方も示されています。

専門領域に根ざすAI活用の広がり

今回のコンテストで印象的なのは、AIそのものの新しさだけでなく、土木や物流といった現場性の強い領域にどう根づかせるかが重視されていた点です。CiviLinkの受賞は、専門知識の継承や人材不足といった課題に対し、AIが具体的な支援策として受け止められつつあることを感じさせます。INTLOOP Ventures MIX 2026は、2026年に初開催されたカンファレンスであり、スタートアップ、事業会社、投資家が交わる場として設けられました。技術を導入するだけでなく、現場の課題や文化に合わせて使い続けられる形を探ることが、これからのAI社会実装でますます大切になりそうです。

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