
災害時の避難所では、食料や水、電気の確保が優先される一方、生理用品の交換や下着の洗濯、身体を清潔に保つ環境、着替えのためのプライバシーなど、女性が抱えやすい困りごとは表に出にくいものです。備蓄品が用意されていても、実際に使える電源や水、洗濯・乾燥の環境がそろっていなければ、十分なケアにつながらない場合もあります。こうした課題は女性だけでなく、家族や地域、避難所を運営する人を含めて考えることが欠かせません。
ポータブル電源やクリーンエネルギー技術を手がけるEcoFlow Technology Japan株式会社は、異なる分野の4社と「避難所女性ケアプロジェクト」を構成し、2026年9月25日から27日まで東京ビッグサイトで開かれた「PHASE FREE Meet 2026」に共同出展しました。電力・水・衛生・ケアを一つの避難所空間にまとめ、災害時に何ができるのかを具体的に伝える展示です。
5社の製品を組み合わせた避難所空間
プロジェクトに参加したのは、EcoFlow Technology Japan、PlayS、シャボン玉石けん、マイクロテック、ソウイジャパンの5社です。会場では「避難所でも、女性の尊厳を守る」をテーマに、それぞれの製品と専門性を組み合わせた空間が紹介されました。
展示されたのは、EcoFlowのポータブル電源による電力供給、吸水ショーツを使った生理期間の衛生対策、無添加石けんによる全身ケア、断水時にも使える循環式手洗い器、コンパクト衣類乾燥機による洗濯・乾燥環境です。一つひとつは異なる用途の製品ですが、避難生活の流れに沿って組み合わせることで、「限られた水で洗う」「身体を清潔にする」「洗濯物を乾かす」といった行動を具体的にイメージできる展示となりました。
注目したいのは、いずれも災害時だけに使う特別な備品ではない点です。アウトドアや子育て、介護など、普段の生活で使い慣れたものを非常時にも生かす「フェーズフリー」の考え方が、身近な場面を通して示されました。
被災経験者から届いた「自治体にも」の声
3日間の会場には、女性だけでなく、男性や自治体関係者、防災に携わる人など幅広い来場者が訪れました。会場マップで「避難所女性ケア」という言葉を見つけ、真っ先に足を運んだ人もいたといいます。

来場者からは、取り組みを知って「救われるような気持ちになる」との感想が寄せられました。実際に災害で自宅を失った経験を持つ人からは、自分の自治体にも採用してほしいという声もあったそうです。また、避難所運営や備蓄品の意思決定に関わる男性にこそ知ってほしいという意見も聞かれました。

娘が3人いるという70代の男性は、以前から備蓄品に生理用品を入れるよう家族に伝えてきたそうです。当初はブースに入ることをためらったものの、説明を聞いてよかったと振り返りました。女性特有の課題を、性別を問わず家族や地域全体で考えるきっかけになった様子がうかがえます。
異業種の連携で生まれた新しい接点
電力、衛生、生理ケア、水、乾燥という異なる領域を一つのブースにまとめたことで、来場のきっかけも多様になりました。ポータブル電源に関心を持って訪れた人が、展示を見ながら避難所での女性ケアを初めて知る場面もあったといいます。
異なる業界の5社が一つの課題に向き合い、製品単体ではなく、避難所での使用場面として見せたことも評価されました。来場者からは、展示を通じて防災用にポータブル電源を購入したいと考えたという声も寄せられています。製品の機能を並べるだけではなく、実際の生活にどう役立つのかを可視化したことが、理解を深める接点になったといえそうです。
ステージ発信から体験へつながる防災啓発
会期中には、管理栄養士で防災食アドバイザーとしても活動する今泉マユ子さんがステージに登壇し、EcoFlow製品を紹介しました。ステージ終了後にはブースを訪れる人が増え、情報を聞くだけでなく、実物や避難所を想定した展示に触れる機会へとつながりました。

「PHASE FREE Meet 2026」を含む3展には、3日間で速報値37,155人が来場しました。出展規模は509社・団体、677ブースです。多くの来場者が集まる場で女性ケアを取り上げたことは、これまで課題を意識していなかった人にも、備えを見直す入口をつくったのではないでしょうか。
日常の延長で考える、尊厳を守る備え

避難所での女性ケアは、生理用品を備蓄するだけでは完結しません。交換できる場所、身体や衣類を洗う水、それらを動かす電力、乾燥させる設備、周囲の理解までがそろって、安心して過ごせる環境に近づきます。今回の展示は、別々に語られがちな要素を一つの生活場面として見せた点が印象的でした。
また、被災経験者の「自分の自治体にも採用してほしい」という声は、当事者が必要性を実感できる提案だったことを伝えています。災害が起きてから初めて使う道具ではなく、日常で使いながら扱いに慣れておくことは、無理のない備えにもつながります。家庭では普段使っている用品が非常時にどう役立つかを確かめ、地域や職場では誰がどのような困りごとを抱えるのかを話してみる。そうした小さな確認が、性別を問わず一人ひとりの尊厳を守る避難所づくりの出発点になりそうです。

