
地域で生まれた再生可能エネルギーを、その地域で活用する「地産地消」の取り組みが広がっています。電力を遠くへ運ぶだけでなく、発電所のある地域と利用者を結びつけることは、脱炭素化を身近な地域課題として捉えるきっかけにもなります。
こうした中、コスモエコパワー株式会社と大平洋金属株式会社は、青森県内の陸上風力発電所を対象とするフィジカルPPA(電力受給契約)を締結しました。2026年10月1日から、コスモエコパワーが大平洋金属へ再生可能エネルギー由来の電力を供給しています。発電から供給、利用までを県内でつなぐ、新たな地産地消の形です。
「つくる・届ける・使う」を青森県内でつなぐ仕組み
フィジカルPPAとは、需要家や小売電気事業者が、再生可能エネルギー発電所から電力と、それに付随する環境価値を調達する契約です。今回の契約では、コスモエコパワーが風力発電による電力を供給し、小売電気事業者である大平洋金属が、その一部を青森県内の需要家へ届ける計画となっています。
地域で発電した電力を地域内で利用することにより、「青森県内でつくる、届ける、使う」という一連の流れが形になります。コスモエコパワーにとって、青森県内で地産地消型PPAによる電力供給を行うのは今回が初めてです。

単に再生可能エネルギーを調達するだけでなく、どこでつくられた電力なのかが分かりやすい点も、この取り組みの特徴といえそうです。
年間約7,000万kWhを生む新岩屋ウィンドパーク
契約の対象となるのは、コスモエコパワーが青森県下北郡東通村で運営する陸上風力発電所「新岩屋ウィンドパーク」です。設備容量は出力制限後で2万7,000kW、年間の発電電力量は約7,000万kWhとされています。
大平洋金属は、この発電所でつくられる電力と環境価値の一部を調達し、県内の需要家へ供給します。発電所、電力を届ける事業者、電力を使う需要家が同じ県内で結ばれることで、風力発電を地域のエネルギー資源として活用する道筋が見えやすくなります。
今回の取り組みを通じて両社は、地域に根ざしたエネルギー事業の展開と脱炭素化への貢献に加え、地域社会との共生も目指しています。
発電と電力小売、それぞれの経験を生かす連携
コスモエコパワーは、コスモエネルギーグループが掲げる「2050年カーボンネットゼロ」に向け、風力発電を中心とした再生可能エネルギーの開発と供給拡大に取り組んでいます。自社風力発電所の開発・運営、FIP制度への移行、再生可能エネルギーの販売・調達などで培った経験を、需要家との連携にも生かす方針です。
一方の大平洋金属は、2050年のGHG(温室効果ガス)排出量実質ゼロを目標に、カーボンフリーエネルギーの活用や新技術の導入を進めています。小売電気事業者としては、自社の電力コスト削減に取り組んできた経験を背景に、電力デマンド管理や需要家の事情に応じた料金メニューの提案を行っています。
風力発電所を開発・運営する側と、需要家に近い立場で電力を届ける側。それぞれの知見を組み合わせることで、地域内における再生可能エネルギーの利用を支える連携となっています。
地域の風を、地域の選択肢に変える一歩
再生可能エネルギーの普及を考えるとき、発電設備を増やすことだけでなく、生み出した電力を誰が、どこで、どのように使うのかという視点も欠かせません。今回のPPAは、青森県内の風力発電所と県内の需要家を結び、地域の自然資源を地域で生かす流れを具体化した取り組みです。
とりわけ印象的なのは、発電・供給・利用という役割を異なる事業者が担いながら、一つの地域内で循環させようとしている点です。今後、実際にどのような需要家へ電力が届けられ、地域の脱炭素化やエネルギー利用にどのような変化をもたらすのかも気になるところです。地域で生まれた電力を地域の選択肢として育てていく、着実な一歩といえそうです。
