表参道のスマートゴミ箱「SmaGO」 アートと環境をつなぐ取り組みが4年目へ
表参道に設置されたSmaGOとプロジェクト関係者。左から、株式会社フォーステック 代表取締役社長 竹村 陽平、日本特殊陶業株式会社 グローバル戦略本部マネージャー 久禮 圭祐氏、株式会社ヘラルボニー 代表取締役Co-CEO 松田 崇弥氏、日本特殊陶業株式会社 上席執行役員 山口 智弘氏。

街中で目にするゴミ箱は、ゴミを受け入れるための設備である一方、街の景観をつくる一部でもあります。人通りの多い場所では、ゴミの回収が追いつかず周囲にあふれてしまったり、分別が十分に行われなかったりすることも少なくありません。清潔な街並みを保つには、利用する人の心がけだけでなく、回収や清掃に携わる人の負担を抑えながら、無理なく運用を続けられる仕組みが必要です。

そうした街の課題に、テクノロジーとアートの両面から向き合っているのが、表参道「スマートアクションプロジェクト」です。株式会社フォーステックは、日本特殊陶業株式会社、株式会社ヘラルボニー、商店街振興組合原宿表参道欅会との連携により、表参道沿いに設置したスマートゴミ箱「SmaGO(スマゴ)」を活用する同プロジェクトを、4年目となる2026年度も継続すると発表しました。

テクノロジーとアートで彩る表参道のゴミ箱

神宮前交差点に設置されたSmaGO

表参道「スマートアクションプロジェクト」は、「ゴミを正しく捨てることからはじまる、循環型社会へのチャレンジ」を掲げ、2023年4月に始まりました。

使用されているSmaGOは、太陽光で稼働し、投入されたゴミを自動で圧縮する機能を備えたスマートゴミ箱です。内部にたまったゴミの量は通信機能を通じて遠隔で確認できるため、回収が必要なタイミングを把握しやすくなっています。

設置箇所

表参道沿いの歩道13か所には、合計34台のSmaGOが設置されています。その筐体を彩るのは、ヘラルボニーが契約する、主に知的障害のある作家によるアート作品です。季節に合わせて約3か月ごとに2作品ずつデザインを更新し、街を歩く人が自然にアートへ触れられる空間をつくっています。

ゴミを捨てるという日常的な行動にアートとの出会いが加わることで、資源循環や多様性について考えるきっかけが生まれる点も、この取り組みの特徴です。

回収回数を約70%減らしたSmaGOの仕組み

SmaGOにゴミを捨てる様子

SmaGOには、ゴミを約5分の1の大きさに自動圧縮する機能があります。一度に収容できる量が増えるため、ゴミ箱が満杯になるまでの時間を延ばし、回収作業の頻度を抑えられます。

表参道・原宿エリアでは、導入前に1日3〜4回行われていたゴミ袋の回収が、導入後は1日1回となりました。フォーステックは、これによって回収回数を約70%削減できたと説明しています。回収が間に合わずゴミ箱からゴミがあふれる状況も大幅に減り、街の美観維持や清掃負担の軽減、利用者の利便性向上につながりました。

さらに、適切にゴミを捨てられる環境が整ったことで、分別率にも大きな改善が見られたとされています。設備の機能を高めることが、回収業務の効率化だけでなく、利用者の行動を後押しすることも見えてきます。

夏の表参道を包む二つのアート作品

2026年夏のデザインには、季節を感じさせる2作品が選ばれました。一つ目は、静岡県のAtelier QUOKKAに所属する赤池僚也さんの《夏の印象 2024.08.10 渋谷》です。

赤池さんは、幼い頃から心に留まったモチーフを自由な線で描いてきました。アクリル絵具や色鉛筆を使い、納得するまで色を混ぜ合わせて生まれる鮮やかで力強い色彩が特徴です。人物の印象的な眼差しや、強弱のある伸びやかな線からは、独自のリズムが感じられます。同じ対象を繰り返し描き、その特徴をより深く捉えようとする姿勢も作品に表れています。

二つ目は、米国ボストンで活動するSATOさんの《川面の朝》です。10歳のサマーキャンプで水彩画に出会って以来、自宅で「1日1枚」の絵を描くことを日課にしています。

その日の心に浮かぶイメージに合わせて数色を選び、ジェリービーンズや雨粒を思わせるみずみずしいタッチで大判の画用紙を埋めていきます。透明感のある色彩が重なった作品は、夏の表参道に涼やかな表情を添えてくれそうです。

協賛と地域の連携で支える街のインフラ

プロジェクトの継続を支えているのは、複数の企業・団体による役割分担です。日本特殊陶業が協賛し、ヘラルボニーが起用作品とデザインを提供。フォーステックがSmaGOの提供とプロジェクト運営を担い、原宿表参道欅会が日々の運用を行っています。

協賛費は、ゴミの回収や清掃などに必要な運用費へ充てられます。導入時だけでなく、設置後も街のインフラとして使い続けられる仕組みを組み込んでいる点が印象的です。

SmaGOの筐体は自由にデザインできるため、分別の啓発や協賛企業との連携にも活用できます。ゴミ箱を単なる設備として扱うのではなく、情報やアートを届ける場所として生かすことで、運用コストと街の魅力づくりを結び付けています。

ゴミを捨てる小さな行動から変わる街の景色

ゴミ箱は、普段は強く意識されることのない街の設備です。しかし、ゴミがあふれず、分別しやすく、清掃や回収にも過度な負担がかからない状態を保つには、設備を置くだけでは足りません。SmaGOの圧縮・通信機能、協賛による運用支援、地域団体による管理が組み合わさることで、継続できる仕組みが形づくられています。

さらに、筐体を包むアートは、街を歩く人に立ち止まるきっかけを与え、環境保全や多様な表現を身近なものにしています。ゴミを正しく捨てるという小さな行動と、作家の個性が表れた作品との出会い。その二つを一つの場所で結び付けたことが、このプロジェクトの大きな魅力といえそうです。ゴミ箱を見る、アートに触れる、正しくゴミを捨てる。そんな日常の動作が自然につながる表参道の風景は、循環型社会を難しく考えすぎないための一つの答えを示しています。

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