
宇宙から地球を観測する人工衛星は、通信や気象、防災、環境調査など、私たちの暮らしを支える幅広い分野で活用されています。民間企業による宇宙ビジネスへの参入が進むなか、衛星開発では、目的に合った機器を搭載できることに加え、開発期間やコストを抑えながら、安定した運用につなげることが求められています。
こうした衛星開発の土台となるのが、電源や姿勢制御、通信などに必要な機能をまとめた「衛星バス」です。コーンズ テクノロジー株式会社は2026年7月23日、ドイツのBerlin Space Technologies社と日本代理店契約を締結したと発表しました。海外で実績を重ねてきた衛星バスプラットフォームを国内企業に提供し、日本における宇宙ビジネスへの取り組みを本格化します。
ドイツ発の衛星技術を日本市場へつなぐ新たな連携

今回の契約により、コーンズ テクノロジーはBerlin Space Technologiesの日本における公式ディストリビューターとなります。同社が取り扱うのは、50~500kg級を中心とした小型・中型衛星向けのモジュール型プラットフォームです。
Berlin Space Technologiesは今回の連携について、人工衛星とサブシステムの輸出によって築いてきた実績をさらに発展させるものと位置づけています。コーンズ テクノロジーとの新たなパートナーシップを通じて、日本市場での展開を進めていく考えです。
海外の衛星技術と、日本企業の開発ニーズを結びつける体制が整うことで、国内の宇宙関連事業者にとっても、新たなプラットフォームを検討する機会が生まれそうです。
主要機能の内製が支える短納期と量産への対応力
Berlin Space Technologiesの特徴は、アビオニクスや姿勢制御、電源系をはじめとする主要なサブシステムを内製する、垂直統合型の開発・製造体制にあります。複数の機能を自社内でまとめて手がけることにより、短納期や量産への対応につなげています。
同社の衛星バスは、地球観測や通信、科学研究、軌道上での技術実証など、多様なミッションを想定しています。これまでに75機以上の衛星ミッションへ貢献してきた実績もあり、用途に応じて構成を調整できるモジュール性と、実運用で培われた技術の双方を備えています。
製造拠点は欧州にとどまらず、インドや北米にも展開されています。多数の衛星を一体的に運用するコンステレーションへの需要が高まるなか、グローバルな量産体制を持つことも、継続的な衛星開発を考える事業者にとって注目される点です。
ミッションに応じて選べる「LEOS」シリーズ

製品ラインアップの一つである「LEOS-50」は、汎用性とシステムの堅牢性を備え、さまざまなペイロードに対応する衛星バスです。ペイロードとは、観測用のカメラや通信機器など、衛星の目的に応じて搭載される機器を指します。
小型ペイロード向けの「LEOS-50MR」に加え、「LEOS-50HR」では最大1.5メートルのGSDに対応するペイロードをサポートします。GSDは地上画素寸法を示す指標で、地球観測画像の解像度を捉えるうえで重要な要素となります。用途や求める観測性能に合わせて選べる構成です。
もう一つの「LEOS-100」は、実績のあるLEOS-50のアビオニクスを基礎として設計されています。「S」「D」「DX」の3つのバージョンが用意され、高いモジュール性によって、さまざまな軌道やミッションに対応します。現在は、顧客向けに複数のLEOS-100衛星が製造されています。
技術商社の知見を生かした国内展開
Berlin Space Technologiesは、小型衛星の設計から製造、ミッション運用までを専門とするドイツ企業です。地球観測や通信、技術実証などの分野に向け、衛星開発に必要な工程をまとめて提供するターンキー型ソリューションや、用途に合わせて組み合わせられるモジュール製品を展開しています。
一方、コーンズ テクノロジーは、海外の製品や技術を日本の産業界へ紹介してきた技術専門商社です。近年は、拡大する宇宙産業への取り組みを本格化し、海外の宇宙関連ソリューションの国内展開を進めています。
宇宙関連事業では、構想や研究、実証、商用化など、企業によって開発の段階や必要とする支援が異なります。海外企業との取引経験や技術分野に関する知見を持つ商社が間に入ることで、製品の選定だけでなく、それぞれの計画に合った導入を検討しやすくなることが期待されます。
衛星開発の選択肢を広げる国際的な橋渡し
人工衛星の開発では、搭載する機器の性能だけでなく、それを安定して動かす衛星バスの信頼性や供給体制も欠かせません。今回紹介されたLEOSシリーズは、50~500kg級を中心とした幅広い衛星に対応し、地球観測から通信、技術実証まで、異なる目的に合わせて構成を選べる点が印象的です。
また、75機以上のミッションへの貢献実績と、欧州・インド・北米にまたがる製造体制は、単発の衛星開発だけでなく、複数機の展開を見据える企業にとっても検討材料となりそうです。Berlin Space Technologiesの衛星技術と、コーンズ テクノロジーが培ってきた国際取引や国内提案の経験が結びつくことで、日本企業が海外の衛星プラットフォームへアクセスする新たな入口が生まれます。国内の宇宙ビジネスにどのようなプロジェクトや連携が加わるのか、今後の展開が気になるところです。

