AI×専門家の眼で工場の“心臓”を守り抜け。定額制予兆検知ソリューション「AssetWatch」が変える設備保全の未来

産業の要であり、設備の駆動源ともいえるモーターやポンプなどの「回転機器」。これらの不具合は、工場にとってまさに致命傷です。突発的な故障でひとたびラインがストップすれば、復旧までのダウンタイムはもちろん、仕掛かり中の原料がすべて無駄になるなど莫大な損失が発生する可能性も否定できません。

その危機を未然に防ぐ切り札となるのが、三井情報株式会社が提供する回転機器の予兆検知ソリューション「AssetWatch(アセットウォッチ)」です。2024年4月に国内販売が開始された本サービスは、米国AssetWatch社が開発。全世界で10万センサーもの稼働データを誇り、米国やカナダを中心に製薬から鉱業まで11もの産業分野ですでに実力を証明しています。

編集部は今回、7月15日から17日にかけて東京ビッグサイトで開催された「メンテナンス・レジリエンス 2026」展において、三井情報のブースを訪問。同社NEXT1営業本部 DX第一営業部 部長の當眞嗣尚(とうま つぐなお)さんに、日本の設備保全を根底から変える「AssetWatch」の真髄を聞きました。

「メンテナンス・レジリエンス 2026」展での三井情報のブース

異常を知らせて終わりではない。「AI×専門家」が導く原因特定と保全アドバイス

予知保全システムと聞くと、センサーやソフトウェアを導入し、「あとはお客様で運用してください」というケースが少なくありません。しかし、AssetWatchのアプローチは根本から異なります。

「我々のサービスは、AIによる一次分析に加え、振動分析の専門家(CME)が最終的な分析を行い、お客様に保全アドバイスをさせていただくところまでをワンパッケージにしています。異常を知らせるだけでなく、『ポンプのどこのベアリングがグリス切れを起こしているか』『電食が起きているか』など、予兆の部位まで正確に特定するのです」(當眞氏)

三井情報株式会社 NEXT1営業本部 DX第一営業部 部長の當眞嗣尚さん

分析を担うのは、ISO規格の振動分析資格を持つ技術者たち。米国のハイレベルなエンジニアと強固に連携した日本の三井情報のエンジニアによる、国内で完結する迅速なサポート体制が、人間の耳には区別できない微細な振動波形の変化や、ベアリングの玉一つの傷すらも見逃しません。

AssetWatchによる回転機器の予知保全ソリューション構成図(公式HPより)

「定期的検査では分からずに突発停止してしまう事例は数多くあります。AssetWatchを導入いただいた住友電工焼結合金様では、地下ピットからの異音発生時に、モーターとポンプのどちらを交換すべきか判断が困難でした。しかし、本サービスの振動トレンドから双方の異常を正確に把握し、迅速な交換判断を実現されています」(當眞氏)

AssetWatchの導入事例(ウォーターポンプ、スパイラルクーラー、換気ブロワー)

初期費用を抑えたオールインワン・サブスクリプション

大掛かりな初期投資は一切不要です。センサー本体、データ分析、専門家によるアドバイス、さらには通信費や電池切れ時の交換費用まで、すべて含めて、1センサー当たりでのサブスクリプションモデルを実現することで初期費用を抑えてサービスを提供しております。設置して1ヶ月間データを学習させるようなダウンタイムも必要ありません。つけた瞬間からサービスの提供が始まります」(當眞氏)

特定のメーカーの設備しか見られないといった縛りもありません。完全なマルチベンダー対応により、どんなメーカーの回転機器でも分け隔てなく監視の目を光らせます。

汎用モータに設置されたAssetWatchのセンサー

強力磁石で“カチャッ”と簡単設置。社内ネットワークも不要

導入のハードルをさらに下げているのが、その手軽さです。

「センサーの設置は、ベアリングの箇所にシャフトの軸と向きを合わせて置くだけ。強力な磁石になっているので、これでOKです。あとは中継機や通信機器を設置すれば、データは自動で収集されます」(當眞氏)

センサーの磁石部分

工場の既存ネットワーク(社内LAN)に相乗りする必要もありません。専用のLTEルーターとハブを利用し、独立した通信網を構築。Wi-Fi環境がない場所でも、電源さえ確保できればすぐに監視体制が整います。

BluetoothやWi-Fiなどが詰め込まれた箱。この一箱でおよそ20〜30個のセンサーの情報を飛ばすことができる

灼熱の鉄鋼所から極寒の冷凍庫まで。過酷な現場を生き抜くタフネス

工場の現場は決して快適な環境ばかりではありません。しかし、AssetWatchのセンサーはIP67相当の防塵防水性能を備え、過酷な条件下でもその能力を発揮します。

「周囲が80℃になる高温多湿の環境や、鉄粉が舞う鉄鋼所の現場でも問題なく稼働しています。また、センサーは振動だけでなく表面の温度も測定しているため、温度上昇から思わぬ異常を発見することもあるのです」(當眞氏)

実際、この温度データが予期せぬ「ヒヤリハット」を炙り出した例があります。ある工場では、夜間は設備を止めているはずが、データ上はなぜか温度上昇が確認されました。調べてみると、夜間に入っていた清掃業者が、設備を運転しながら片付けをしていたことが判明したのです。

「社長も全く知らなかった事象です。放置していれば最悪、火災に繋がっていたかもしれません。単なる機械の故障だけでなく、現場の『異常事態』そのものをあぶり出すことができるのです」(當眞氏)

さらに、こうした過酷な現場の監視を補完するオプションとして、マイナス40度の極寒環境でも稼働する耐久性の高いカメラもラインナップ。

「高額になりがちな耐寒カメラですが、我々はリーズナブルにご提供しています。冷凍食品の工場などで、急速冷凍の工程や、冷凍庫内の洗浄が上手くいったかどうかを確認するために活用していただいています」(當眞氏)

マイナス40度の環境でも稼働するカメラ

属人的な保全からの脱却が、日本の現場を救う

かつて、設備の異常は熟練の職人が「音」や「勘」で察知していました。しかし、ベテランの引退とともにそのノウハウは失われ、現場の人手不足は限界に達しています。

定期的に部品を交換するTBM(時間基準保全)から、状態を監視して必要なタイミングでメンテナンスを行うCBM(状態基準保全)へ。AssetWatchがもたらすのは、単なるデジタル化ではありません。不要な修繕コストを削減し、稼働を止められない現場のスタッフに「計画的なメンテナンス」という時間的余裕を与える、劇的なパラダイムシフトを起こすのです。

「いきなり止まられては困る」。そんな現場の切実な声に応えるAssetWatch。日本のモノづくりや社会インフラを力強く底支えする必須のソリューションとして、その存在感は今後さらに高まっていきます。

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