
仕事の場では、成果を出していても自分から語ることにためらいを感じる人は少なくありません。特に、周囲との調和や謙虚さを大切にする文化の中では、「自分の強みを伝えること」と「自慢に聞こえないこと」の間で迷う場面もあります。こうした感覚は、キャリアの節目やリーダーシップを求められる立場になるほど、見過ごせないテーマになっていきます。
株式会社COEDASは、キリンホールディングスが展開する女性社員向けメンタリングプログラム「キリン・メンタリング・バトン」の一環として、自己肯定感やインポスター症候群に向き合うワークショップ「#IAmRemarkable」を実施しました。参加者が自らの実績を言葉にし、互いに認め合うことを通じて、個人のリーダーシップと組織のDE&I推進を後押しする取り組みです。
女性リーダー育成を支える対話のプログラム

キリンホールディングスでは、CSV経営の核としてDE&Iを推進しており、2025年には目標として掲げていた女性経営職比率18%を達成しています。その流れの中で行われている「キリン・メンタリング・バトン」は、中長期的な視点で女性社員のキャリア形成を支援するプログラムです。
同プログラムは、総合職から経営職に登用される女性が増加したことを背景に、経営職になった後のさらなる活躍を支えるものです。役員や部門長などとの対話を通じて、視座、視点、視野、潮流、マネジメント手法の選択肢に気づき、自分らしいリーダー像をつくることを目指しています。
「謙虚さ」と自己評価の間にある課題
一方で、多くのビジネスパーソン、とりわけ女性やマイノリティは、自分の成果を控えめに評価してしまう傾向に直面しやすいとされています。成功しても「自分の力ではない」と感じたり、実績を語ることに抵抗を覚えたりするインポスター症候群も、その一つです。
COEDASは、こうした心理的な障壁に着目しました。コーチングや対話の知見を生かし、参加者が自分の強みや成果を事実として捉え直せるよう支援する内容です。キャリアのステップアップを考えるうえで、スキルや経験だけでなく、それを自分の言葉で受け止める土台づくりが重視されています。
#IAmRemarkableで実績を言葉にする
今回実施された「#IAmRemarkable」は、Googleが開発した、自己アピールの重要性を啓発するグローバルな取り組みです。セッションには、NHK「あさイチ」でインポスター症候群の解説を担当したCOEDAS取締役の辛玉順さんが登壇しました。
内容は、日本企業の文化に合わせた対話重視の構成です。参加者は、自身の強みを再発見して言葉にするワークに取り組みました。また、「謙虚さ」と「適切な自己開示」のバランスを学び、互いの良さを認め合う共感的な対話も行われました。成果を語ることを特別な自己主張ではなく、事実を共有する行為として捉え直す時間になったようです。
参加者の声に表れた前向きな変化

参加者からは、「自分が歩んできた道を肯定的に捉え直す機会になった」「同じ悩みを持つ仲間と対話することで、一歩踏み出す勇気を得られた」といった声が寄せられました。個人の内面に関わるテーマだからこそ、同じ場にいる人同士で話すことが、安心感につながった様子がうかがえます。
キリンホールディングス人財戦略部の瀧本さんは、今回のワークショップについて、メンティが自分の強みや成果を事実として捉え、言語化する貴重な機会になったとコメントしています。事後アンケートでも、成果は自慢ではなく事実として語ってよいという気づきが多く挙がり、自組織やチームでも実践したいという前向きな声があったと紹介されています。
自分の価値を認め合う文化づくりへ
今回の取り組みは、女性リーダー育成の一場面でありながら、働く人が自分の成果をどう受け止め、どう周囲と共有するかという広いテーマにもつながっています。実績を語ることに抵抗を感じる人にとって、安心して言葉にできる場があることは、次の挑戦を考える小さな支えになりそうです。COEDASは今後も、対話の力と専門的な知見を通じて、企業の組織変革を支援していくとしています。自己肯定感を個人だけの課題にせず、チームや組織の関係性の中で育てていく視点が印象的です。

