6.6億人をつなぐ「CapCut World」初開催 AI時代の新たな創作体験

動画や画像を使った表現は、プロのクリエイターだけのものではなくなりました。スマートフォンひとつで作品をつくり、世界へ発信できるようになった一方、「思い描いた雰囲気をうまく再現できない」「毎回同じ編集作業を繰り返している」「生成AIをどこから制作に取り入れればよいか分からない」といった悩みを抱える人も少なくありません。

こうした創作の可能性と課題を共有する場として、動画編集アプリ「CapCut(キャップカット)」は2026年9月5日、初のグローバルコミュニティイベント「CapCut World」をシンガポールで開催しました。クリエイターの活動をたたえるとともに、制作ノウハウや新しい機能を紹介し、これからの表現について考えるイベントです。

300人を超える参加者が集った初の交流イベント

CapCutは2020年のサービス開始以降、動画編集を中心に、画像やデザイン、AIを活用した制作まで扱えるプラットフォームへと機能を広げてきました。現在は170以上の市場・30言語で展開され、ユーザー数は6億6,000万人を超えています。

その節目に開かれた「CapCut World」には、300人を超えるクリエイターや業界関係者、CapCutのチームメンバーが参加しました。会場では、クリエイター自身のストーリーが共有されたほか、参加者同士による制作ノウハウの交換や、日々の創作を支える人気機能の紹介が行われました。

シンガポールでの開催は、世界各地で展開するイベントシリーズの第一歩です。オンラインで作品を発信する人々が実際に集まり、互いの経験やアイデアに触れる機会となりました。

完成作品だけでなく制作方法を共有する「Skills」

CapCutでは、600万人を超えるテンプレートクリエイターが活動し、毎日40万件以上の新しいテンプレートを公開しています。完成した作品を見せるだけでなく、ほかの利用者が編集方法を試し、そこから新たな表現へ発展させられる点がコミュニティの特徴です。

この流れを広げる機能として、新たに提供されたのが「Skills」です。作品のスタイルや制作手順、テクニックを保存・共有できるため、一度確立した編集方法を次の作品にも応用しやすくなります。

映画制作者でCapCutクリエイターのVee Camallereさんは、再生回数2,500万回を超えるAI活用シリーズ「Featherweight」のカラーグレーディング工程を「Skills」に保存。同じ映像の雰囲気や色味を、シリーズの各エピソードで再現するために役立てていると紹介しました。作品そのものだけでなく、「どうつくったのか」まで共有できる仕組みは、クリエイター同士の学びにもつながりそうです。

アイデアから仕上げまでつなぐ85種類以上のAIツール

CapCutは現在、85種類以上のAI技術を用いたツールを提供しています。2026年には、CapCutのコミュニティで画像や動画クリップ、エフェクトなど60億件を超えるオリジナルコンテンツが生成されました。また、AI機能を利用するクリエイターは毎日700万人以上にのぼるとされています。

「AI Lab」では、言葉を使ってアイデアを整理し、「Infinite Canvas」ではストーリーやキャラクター、シーンを組み立てられます。その後、素材や制作の流れをマルチトラックエディターへ引き継ぎ、「Edit Pilot」の支援を受けながら作品を仕上げることが可能です。

同時に、目に見えないウォーターマークや、コンテンツの出所・信頼性を示すC2PAの「Content Credentials」を取り入れるなど、AIを責任ある形で利用するための環境づくりも進められています。

指示した部分だけを調整できる直感的な編集体験

CapCutは、動画生成向けの「Dreamina Seedance」、画像生成向けの「Dola Seedream」、音声生成向けの「Seed Audio」といったAIモデルの統合も進めています。

「Video Studio」では、シーン全体を生成し直さず、特定の時間やキャラクター、要素を指定して調整できます。「Design Studio」でも、画像上に矢印を描いたり、変更したい場所を囲んだりすることで、生成結果を直感的に修正できます。動画、画像、デザインを別々のソフトで扱う負担を減らし、モバイル、デスクトップ、Web、タブレットを横断して制作できる点も特徴です。

作品の選択をクリエイター自身に残すために

「CapCut World」は、シンガポールに続き、2026年後半にロサンゼルスとロンドンでも開催される予定です。機能の進化だけでなく、各地のクリエイターが経験や技術を持ち寄る場として、今後どのような交流が生まれるのかも注目されます。

生成AIによって、専門的な知識がなくてもアイデアを形にしやすい時代になりました。その一方で、どの表現を選び、どこを自分の手で整えるのかという判断は、これまで以上に大切になりそうです。「Skills」による制作方法の共有や、部分的な指示で修正できる編集機能は、AIにすべてを任せるためではなく、人の意図を作品へ反映しやすくするための仕組みとも捉えられます。道具が高度になるほど、クリエイター同士が学び合い、それぞれの感性を生かす場の価値も高まります。「CapCut World」は、技術とコミュニティの両面から、新しい創作のあり方を考えるきっかけになりそうです。

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