求人を出すだけでは選ばれない? りそな銀行とデジアサが挑む「企業の魅力」を伝える採用支援

採用活動の難しさは、求人情報を公開するだけでは解決しにくくなっています。「応募がなかなか集まらない」「求める人材と出会えない」「採用しても早期離職につながってしまう」。こうした悩みを抱える企業は少なくありません。

求職者が企業を知る経路も変化しています。求人票だけでなく、企業サイトやSNS、動画、口コミ、社員インタビューなどを見比べながら、仕事内容や待遇に加えて、社風や働く人の雰囲気まで確かめるようになりました。企業にとって採用は、募集条件を提示するだけでなく、自社の魅力を分かりやすく伝えるマーケティング活動のひとつになりつつあります。

そうした中、株式会社りそな銀行と朝日放送グループの株式会社デジアサは、2026年8月、採用支援分野における有料ビジネスマッチング業務の契約を締結しました。りそな銀行の取引先企業に対し、デジアサ独自の「ASAHIメソッド」を活用した採用マーケティング支援を提供する取り組みです。

人材不足だけではない? 採用環境を変えた情報収集の多様化

少子高齢化に伴う労働人口の減少に加え、働き方や仕事に求める価値観が多様になったことで、企業を取り巻く採用環境は大きく変化しています。求人媒体へ情報を掲載しても、十分な応募につながるとは限りません。

その背景にあるのが、求職者の情報収集行動の変化です。現在は企業のホームページやSNS、動画、口コミサイトなど、複数の情報を比較して応募先を決める人が増えています。企業が積極的に発信していない情報も判断材料となり、さまざまな接点を通して「働きたい会社かどうか」が見極められています。

一方で、採用活動が求人媒体への掲載で止まり、自社ならではの魅力や競合企業との違いを伝え切れていないケースもあります。りそな銀行は人材に関する課題を企業経営に直結するテーマと位置付け、取引先への支援を強化する選択肢のひとつとして、デジアサとの契約に至りました。

銀行の企業接点とメディア活用の知見をつなぐ支援体制

今回の取り組みでは、りそな銀行が日頃から取引している企業の経営課題を聞き取り、人材採用に悩みを抱えている企業へデジアサを紹介します。

デジアサは紹介を受けた企業について、現在の採用状況や競合環境、求める人材像などを分析し、「ASAHIメソッド」に基づいて採用戦略を設計します。求人媒体の見直しだけでなく、企業ブランドの見せ方や採用サイト、動画、SNS、社員インタビュー、コンテンツ制作、第三者評価の活用などを組み合わせる点が特徴です。

応募数を増やすことだけを目的にせず、企業理念や職場の文化に共感する人材との接点をつくり、採用後の定着まで見据えます。企業との継続的な関係を持つ銀行と、テレビ・Web・SNSを活用してきたデジアサの知見を結び付けた支援体制となっています。

「募集する」から「応募したくなる理由」をつくる採用へ

「ASAHIメソッド」は、企業が本来持っている価値を市場へ分かりやすく伝え、選ばれる状態をつくることを目的としたマーケティング手法です。

採用市場でも、求職者は複数の企業を比較しています。そのため、募集情報を出すことに加え、「なぜこの会社で働きたいのか」と思える理由を伝えることが重要になります。

支援では、まず企業の魅力や強みを整理し、採用したい人物が重視する価値との接点を明確にします。さらに競合企業との比較を通じて、その企業ならではの特徴を言葉やビジュアルで表現します。

求職者が企業を知ってから、関心を持ち、応募し、最終的に入社を決めるまでの情報接点も分析します。採用サイトや動画、SNS、社員インタビュー、口コミ、オウンドメディアなどを組み合わせ、一貫性のある採用ブランドの構築を目指します。

調査から動画・SNS、応募後の改善まで広がる支援内容

提供される主なサービスには、採用市場や競合企業の調査分析、採用ターゲットとなる人物像の設計、企業の魅力や強みの言語化、採用コンセプト・採用ブランドの設計などがあります。

情報を届ける施策としては、採用サイトやランディングページ、社員インタビュー、採用動画、YouTube・SNS向けコンテンツの企画・制作に対応します。Web広告やSNS広告を活用した応募獲得、採用広報・PR施策、応募データの分析と改善提案も支援範囲に含まれます。

求職者が応募前に確認する情報が多岐にわたる現在、ひとつの媒体だけで企業の姿を伝えることは難しくなっています。複数の接点で発信内容に一貫性を持たせながら、企業の実像や働く魅力を届けることが、応募者との認識のずれを減らすことにもつながりそうです。

両社の担当者が語る企業価値と採用のつながり

りそな銀行法人部ビジネスプラザおおさか人材ソリューションデスク担当マネージャーの小西繁樹さんは、人材不足を多くの企業に共通する重要な経営課題と捉えています。金融サービスに加えて、経営課題の解決につながる支援を充実させ、今回の契約を通して企業価値の向上に貢献したいとコメントしました。

デジアサのデジタルマーケティング事業担当マネージャー、藤田謙太郎さんは、採用課題には「企業の価値が市場へ正しく伝わっているか」というマーケティング上の側面もあると説明しています。これまで商品やサービス、ブランドの価値を届けてきた知見を採用分野へ展開し、「この会社で働きたい」と感じてもらえる企業づくりを支援する考えです。

採用を企業の魅力と向き合う機会に変える連携

人材不足への対応というと、求人媒体の追加や待遇の見直しに目が向きがちです。しかし今回の取り組みからは、自社の魅力を整理し、求職者が知りたい形で届けることも大切な採用活動であると見えてきます。企業サイト、動画、SNS、社員の声など、それぞれの情報が同じ方向を向いていれば、応募前に仕事内容や職場への理解を深めてもらいやすくなります。それは応募数だけでなく、企業と人材の相互理解や、入社後の定着を考えるうえでも意味のある取り組みです。企業の経営課題に触れるりそな銀行と、多様なメディアによる発信を手掛けてきたデジアサの連携は、採用を単なる「人集め」ではなく、企業自身の価値を見つめ直す機会へ変えていくかもしれません。地域企業が自社らしい魅力を伝え、共感する人材との接点を築けるか、今後の展開が注目されます。

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