
環境に配慮した暮らしを心がけたいと思っても、「何から始めればよいのだろう」と迷う人は少なくありません。GX(グリーントランスフォーメーション)という言葉も、社会や産業の大きな変化として語られる一方、日々の買い物や食事、移動とのつながりは見えにくいものです。だからこそ、楽しさや好奇心を入り口に、実際に見て、触れて、試してみる機会が大切になります。
東京都は2026年7月25日と26日、東京ビッグサイトで大規模体験型イベント「TOKYO GX ACTION MUSEUM」を開催しました。会場には自動車、食、ファッション、テクノロジーなどに関わる73事業者が集結。「LAB」「DRIVE」「ART&FASHION」「FOOD」「STAGE」の5つのゾーンで、全21件のワークショップや電気自動車の試乗、ライブステージなどが行われました。来場者が身近な「好き」からGXへ触れる、体験を中心とした2日間となりました。
「好き」から始めるGXをゲストが宣言

初日のオープニングセレモニーには、SWEET STEADYの音井結衣さん、塩川莉世さん、白石まゆみさん、DECA!BEATの岡村美波さん、弓桁朱琴さんが登壇しました。J-WAVE「GURU GURU!」からは、松井ケムリさんと福留光帆さんも参加。軽快な掛け合いを交えながら、会場に設けられた5つのゾーンの見どころを紹介しました。
トークでは最新テクノロジーへの期待に加え、DECA!BEATのTシャツがサトウキビのでんぷんを原料として作られていることなど、出演者の身近なアイテムに隠された環境への工夫も明かされました。難しく捉えられがちなGXを、音楽やファッションと結び付けて伝えることで、会場は親しみやすい雰囲気に包まれました。

セレモニーの終盤には、登壇者全員がGXへの思いをメッセージフラッグへ書き込む企画も行われました。「マイボトルを持ち歩く」「地産地消で野菜を食べる」など、日々の暮らしで無理なく実践できる行動をそれぞれが宣言。「好き」や普段の習慣をきっかけに、一人ひとりがGXへ踏み出せることを伝えながら、2日間のイベントが幕を開けました。
石けんづくりから未来のモビリティ体験まで

「GX LAB」では、製造、素材、エネルギー、ライフスタイルなど、幅広い分野の技術や取り組みが紹介されました。電気を蓄えられる「蓄電コンクリート」の展示では、蓄電によってコンクリートが暖かくなる様子に来場者が関心を寄せました。
廃食用油を利用した石けんづくりのワークショップでは、資源を捨てずに生かす循環の仕組みを手作業で体験しました。難しい解説から入るのではなく、素材の変化に触れる楽しさが学びにつながっていたことが印象的です。

「GX DRIVE」には、電気自動車、水素燃料電池フォークリフト、EV消防ポンプ自動車などが並びました。一部車両への試乗やVR防災体験、「地球にやさしい燃料」をテーマにしたクイズも用意され、現在使われている技術から少し先の未来を感じさせる乗り物まで、幅広く体験できる場となりました。
廃材や容器から生まれる新しいファッション

「GX ART&FASHION」では、エシカルファッションやアップサイクル製品、廃材を活用したアイテムなどが展示されました。株式会社博報堂プロダクツのブースでは、親子でオリジナルのGXカルタを作って遊ぶワークショップを開催。家族で楽しみながら、環境に配慮した行動を考えられる内容でした。
アイフォースリー株式会社は、廃棄予定の目薬ボトルを再利用したサングラスを紹介しました。目薬や化粧品のプラスチック容器を粉砕した材料によるアクセサリーパーツ作りも行われ、身近な容器が別の製品へ生まれ変わる意外性に驚く声が上がりました。
普段よく目にする商品や企業にも、GXにつながる工夫が隠れています。アートやファッションを通じて素材の行方を知ることで、物を選ぶ際の見方も少し変わりそうです。
おからやラーメンで味わう食の選択肢

「GX FOOD」には、サステナブルな食品や飲料に取り組む企業・団体が出展しました。オカラテクノロジズ株式会社は、食品として十分に活用されずに廃棄されることもある「おから」を、おいしくアップサイクルした製品として展示・販売しました。
オタフクソース株式会社と株式会社白洋舎は、「染み抜き」と「冷蔵庫に残った材料で作るお好み焼き」を組み合わせた体験コンテンツを実施しました。衣類を長く着ることと食品ロスを減らすことを、一度に学べるユニークな企画です。
森永乳業株式会社は、プラスチック使用量を16%以上削減した「ビヒダスヨーグルト」を紹介したほか、常温保存できる牛乳のプレゼントや、腸活をテーマにした栄養士セミナーも行いました。

人気ラーメン店8店舗が参加した「GXラーメンストリート」では、環境に配慮した食材やトッピング、エコ容器を使った限定メニューを提供しました。食後には容器のフィルムをはがし、分別とリサイクルを体験できる仕組みも採用されました。おいしさを楽しんだ後の小さな行動まで、食の体験として組み込まれていました。
音楽と公開収録で伝える身近なGXアクション

「GX STAGE」では、SWEET STEADYとDECA!BEATによるライブをはじめ、音楽やトークを通じてGXを身近に感じられるプログラムが行われました。
SWEET STEADYは人気楽曲を披露し、会場を盛り上げました。MCではメンバー全員がメッセージフラッグへGXアクションの宣言を書き込み、来場者へ思いを届けました。DECA!BEATのステージでは、代表曲「ワッチャ☆フューチャー」の披露に加え、日常生活で実践できるGXアクションを楽しく学ぶ「デカボ 格付けバトル!!!」も実施されました。

J-WAVEによる特別公開収録も行われました。「GURU GURU!」COLLABORATION STAGEでは、福留光帆さんと松井ケムリさんがMCを務め、東京ホテイソン、ザ・マミィ、かけおち、イチゴが出演。ネタや大喜利を交えた、この日ならではのステージを展開しました。

ポッドキャスト番組「offの日、どっちっち?」の公開収録には、小澤征悦さんと大塚愛さんが登場しました。プライベートにまつわるトークを楽しみながら、日常の脱炭素アクションやサステナブルな暮らしについて考える時間となりました。
学生の提案からグランドフィナーレへ

企業と学生が共創するビジネスコンテスト「デカボチャレンジ~TOKYO GX ACTIONスペシャル~」も開催されました。2026年春の「デカボチャレンジ2026春」から続く企画で、学生4チームが約4カ月にわたる取り組みの成果を発表しました。
テーマは「東京の若者がワクワクしながら参加できる新しいGXアクション」です。各チームが若者ならではの視点を生かし、楽しさと脱炭素を結び付けたプロモーション戦略を提案しました。
審査の結果、「ミツバチを通じてGXを自分ゴト化し、小さなことから変えていく」と提案したCチームがグランプリを受賞しました。来場者投票によるオーディエンス大賞には、人と店舗をつなぐ取り組みや、フェスでのごみ削減などを提案したDチームが選ばれました。

最終日のグランドフィナーレでは、DECA!BEATとともに2日間の会場を振り返るダイジェストムービーを上映。出演者や出展事業者によるGXアクションの宣言で埋め尽くされたメッセージフラッグが、DECA!BEATのメンバーから東京都の産業労働局長へ手渡されました。
東京都の産業労働局長は、一人ひとりが行動を起こし、ともに未来をつくることが「TOKYO GX ACTION」に込められた思いだと説明しました。最後は、出演者と観覧者による「TOKYO GX アクション!」の掛け声で、2日間のイベントを締めくくりました。
会場の各所に広がった未来へのアクション

ABB FIAフォーミュラE世界選手権の東京大会「2026 TDK Tokyo E-Prix」では、「FORMULA E × TOKYO GX ACTION FAN VILLAGE」が展開されました。レース観戦の合間にもGXへ触れられる、多彩な体験型コンテンツが用意されました。
会場にはライブビューイングやレーシングシミュレーター、EVカートが登場しました。ペダルをこいで電気をつくる発電レースや展示パネルもあり、来場者が体を動かしながらエネルギーについて学べる空間となりました。
「Recharge Garden powered by TOKYO GX ACTION」には、廃タイヤを活用した充電テーブルや、再生素材から作られた家具とカーペットを設置。モータースポーツの躍動感と資源循環の工夫を組み合わせ、「フォーミュラEとGX ACTIONの融合」を表現しました。

このほかにも、会場の各所では展示を興味深そうに眺めたり、親子でワークショップに参加したり、初めて見る技術や素材に触れたりする姿が見られました。未来につながる行動を知識として学ぶだけでなく、楽しみながら体験することで、GXを自分の暮らしへ引き寄せる機会となりました。
<TOKYO GX ACTION MUSEUM 実施概要>
開催日程:2026年7月25日(土)・7月26日(日)11:00~20:00
主催:TOKYO GX ACTION2026実行委員会
会場:東京ビッグサイト 西1〜4ホール、アトリウム
公式HP:https://tokyo-gx-action.jp/event2026/
楽しさの先に見えてきた一人ひとりの選択
GXという言葉だけを聞くと、大規模な技術開発や企業の設備投資を思い浮かべるかもしれません。しかし今回の会場に並んだのは、乗り物や衣服、食事、日用品、音楽など、暮らしのすぐそばにあるものばかりでした。石けんを作る、再利用された素材に触れる、食後の容器を分別する、好きなアーティストと一緒に行動を宣言するといった体験は、環境への取り組みを無理なく自分事へ近づけてくれます。フィナーレで披露されたメッセージフラッグも、立場の異なる人々の小さな宣言が集まることで、一つの大きな景色を生み出していました。専門知識を身につけてから動くのではなく、まずは興味のある分野から触れてみること。その積み重ねが、GXを特別な活動から日常の選択へ変えていくのかもしれません。

