人材不足だけではない? BPO活用に見る企業の業務効率化の現在地

「人が足りない」という言葉を耳にする機会が増えて久しくなりました。採用市場の競争激化や働き方の多様化が進む中、多くの企業が限られた人員で業務を回すための工夫を求められています。そうした状況で注目されている選択肢のひとつが、業務の一部を外部に委託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)です。
しかし実際のところ、企業はどの程度BPOを活用しているのでしょうか。また、業務効率化を考える際、本当にBPOが第一候補として選ばれているのでしょうか。
株式会社インボイスが実施した調査では、企業がBPOをどのように捉え、どのような場面で検討しているのかが明らかになりました。調査結果を見ていくと、単に「人手不足だから外注する」という単純な話ではなく、採用やシステム導入、業務改善など複数の選択肢を比較しながら判断している企業の姿も見えてきます。業務効率化の方法が増え続ける今だからこそ、それぞれの企業がどのような考え方で選択しているのかが気になるところです。

BPO利用経験のある企業は約25%という結果に

今回の調査では、BPOを利用した経験があると回答した企業は25.2%でした。
一方で、最も多かったのは「興味がない、または社内で完結したい」という回答で34.5%を占めています。また、「検討したが利用しなかった」が14.5%、「興味はあるがまだ検討していない」が13.9%という結果でした。
BPOという言葉自体は広く知られるようになっていますが、実際の導入状況を見ると、企業ごとに考え方や判断基準が異なっているようです。業務内容や社内体制、コストとのバランスなどを踏まえながら、それぞれの企業が最適な運用方法を模索していることが分かります。
人材不足が社会的な課題として取り上げられる機会が増えるなかでも、外部委託が一律の解決策として選ばれているわけではありません。BPOへの関心は一定数あるものの、導入にあたっては慎重に検討する企業も少なくないようです。

外部委託されやすいのは定型的なバックオフィス業務

実際にBPOの対象として利用・検討されている業務を見ると、「データ入力」が41.5%で最多となりました。
続いて「給与計算」が33.3%、「勤怠集計」が26.0%と続いています。
これらの業務に共通しているのは、日々発生する定型的な作業でありながら、正確性が求められる点です。業務量が一定以上になると担当者の負担が大きくなりやすく、繁忙期には残業や人員確保の課題にもつながります。
また、専門知識が必要となる給与計算などは担当者の属人化も起こりやすく、担当者の異動や退職がリスクとなるケースもあります。そのため、こうしたバックオフィス業務を中心に外部委託のニーズが高まっているようです。
企業活動を支える重要な業務だからこそ、安定的に運用できる体制づくりが求められていることが分かります。

BPO活用の背景にある「人材不足」と「教育負担」

では、企業はどのような理由でBPOを選択しているのでしょうか。
調査結果では、「人材の確保が難しい」が64.5%で最も高い結果となりました。採用活動を続けても必要な人材を確保できない状況が、多くの企業で課題となっていることがうかがえます。
続いて「短期間だけ人手が必要」が54.8%、「教育や引き継ぎの負担が大きい」が51.6%、「採用するよりコストが安い」が51.6%となりました。
特に印象的なのは、単純なコスト削減だけではなく、採用や育成にかかる負担の軽減が大きな理由として挙げられている点です。
人材を採用しても、すぐに戦力になるとは限りません。教育や業務の引き継ぎには時間と労力が必要です。そうした負担を考慮した結果として、必要な業務を専門事業者へ委託するという選択が行われているようです。
BPOは「人件費を削減するための手段」というよりも、「限られた人材を有効活用するための選択肢」として捉えられていることが見えてきます。

BPOだけではない 企業が比較するさまざまな選択肢

今回の調査で興味深いのが、BPOを検討する際の比較対象です。
最も多かったのは「SaaSや業務改善ツールの導入」で48.8%でした。続いて「人材採用」が32.5%、「業務の撤廃・簡素化」が32.5%となっています。
企業が抱える課題に対して、「外注するか、しないか」という二択で考えているわけではないことが分かります。
例えば、システム導入によって作業そのものを自動化できる場合もありますし、業務フローを見直すことで不要な作業を削減できるケースもあります。あるいは、新たな人材を採用することで解決できることもあるでしょう。
その中の一つの選択肢としてBPOが存在しており、企業は複数の方法を比較しながら、自社に合った手段を選んでいるようです。
業務改善の方法が多様化している現在だからこそ、「どの方法が最適か」を見極める視点が重要になっているのかもしれません。

業務効率化の手段が増える中で求められる選択

今回の調査からは、BPOが一定のニーズを持ちながらも、すべての企業にとって万能な解決策ではないことが見えてきました。
人材不足への対応、業務負担の軽減、コストの最適化など、企業が抱える課題はさまざまです。その解決方法もまた、採用、システム導入、業務改善、そしてBPOと多岐にわたっています。
以前であれば「人を増やす」という選択が中心だったかもしれませんが、現在は業務そのものを見直したり、テクノロジーを活用したりと、選択肢が広がっています。
今回の結果は、企業が外部委託を含めた複数の方法を比較しながら、自社に合った運営体制を模索していることを示しているようでした。業務効率化がますます重要になるこれからの時代において、どの手段を選ぶかだけでなく、どのように組み合わせていくかも一つのポイントになっていきそうです。

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