渋谷の街が“参加するメディア”に SHIBUYA CITY FCと挑む「決意の壁」が生み出す新たな都市体験

街なかで目にする広告は、情報を届けるものとして存在してきましたが、近年はその役割にも少しずつ変化が生まれているようです。ただ「見せる」だけでなく、人が関わり、参加し、その場の空気や体験と結びつくことで、街そのものの印象を変えていく——そんな発想を形にした取り組みが、渋谷センター街に登場しました。
関東サッカーリーグ1部でJFL昇格を目指すSHIBUYA CITY FCと連動した参加型ウォールアート「決意の壁」は、クラブの挑戦を起点に、ファンや支援者、来街者の想いを“現代版の絵馬”として街に刻むプロジェクトです。さらに、近隣店舗と連携した参加型企画も組み合わせることで、広告と街歩き、コミュニティ体験を横断する仕掛けとして展開されています。
都市空間を単なる通過点ではなく、関わりを生む場として捉え直す試みともいえる今回の施策。そこで今回、太平洋商事株式会社は、SHIBUYA CITY FCと連携した参加型ウォールアート「決意の壁」に関する取り組みを発表しました。

昇格確率2%の挑戦とともに現れた「決意の壁」

渋谷センター街の中心に登場した「決意の壁」は、SHIBUYA CITY FCが掲げる「PROVE IT, SHIBUYA.」というメッセージを体現するプロジェクトとして展開されています。
関東サッカーリーグ1部からJFL昇格を目指す道のりは狭き門とされ、その昇格確率は約2%ともいわれています。そうした厳しい挑戦に向き合うクラブの姿勢と、それを支える人々の想いを一つのビジュアルに落とし込んだのが、このウォールアートです。

壁面には、支援者の名前やメッセージ、企業ロゴなどが刻まれ、クラブだけでなく、街に関わる人々の“決意”そのものを可視化する構成になっています。神社に願いを託す絵馬のように、想いを街に残すという発想も印象的で、単なる屋外広告とは異なる存在感を放っています。
通りを行き交う人々にとっても、思わず足を止めて見たくなるようなインパクトがあり、街なかに新しいコミュニケーションを生み出す装置として機能しているようです。

「見る広告」から「参加する体験」へ広がる街ぐるみの仕掛け

今回の施策は、壁面広告を見るだけで終わらない設計にも特徴があります。
近隣の「Shibuya Street Bar MAPS」と連携し、期間中にはドリンクを注文した来場者にオリジナル紙コースターと無地の絵馬を配布。その場でメッセージを書き込み、店内に掲出できる参加型企画も用意されています。
街を訪れた人が、ただ受け手として広告を見るのではなく、自らメッセージを残し、企画に参加できる点はユニークです。ウォールアートという視覚的な接点と、店舗での行動的な接点を掛け合わせることで、街全体を巻き込んだ体験設計につなげています。
こうした仕掛けは、広告という枠組みを少し広げ、「参加するメディア」という考え方をより具体的に伝えるものにもなっているようです。

都市空間を再編集する「シブヤキャンバス」という構想

今回の背景にあるのが、太平洋商事が進める「シブヤキャンバス」というプロジェクトです。
渋谷センター街の壁面やシャッター、仮囲い、私道空間などを活用し、街全体を“歩くメディア”として再編集する構想で、従来の屋外広告とは異なる発想から生まれています。
今回の施策では、ウォールアートによる認知創出と、回遊・体験施策による滞在価値向上を組み合わせることで、「点」と「面」の両方から街に働きかける設計が取られています。
また、広告掲出がない期間には若手アーティストによる作品展示も行うなど、景観価値や文化的な発信にもつなげている点も特徴です。
広告枠として空間を使うだけでなく、都市空間そのものを編集し、新たな意味を与えようとする試みとして見ることもできそうです。

広告・アート・コミュニティを横断する今後の展開

今回の「決意の壁」は、一つの単発施策としてだけでなく、今後の展開も見据えた取り組みとして位置づけられています。
太平洋商事は今後、企業、アーティスト、スポーツクラブ、地域と連携しながら、都市空間の価値を高める新たなプロモーション手法の開発を進めていく方針を示しています。
広告、アート、コミュニティという異なる領域を横断しながら、持続的な賑わいや文化創出につなげていこうとする方向性は、都市型プロモーションの新しいあり方としても関心を集めそうです。
渋谷という発信力のある街を舞台に、こうした実験的な取り組みが今後どう広がっていくのかにも注目したいところです。

“参加するメディア”が映し出す、渋谷の新しい風景

今回の「決意の壁」は、屋外広告の新しさを打ち出すだけでなく、人が関わることで街そのものに新しい意味を生み出そうとする取り組みとして注目されます。
見るだけだった広告が、参加し、想いを書き込み、共有する場へと変わっていく——その変化は、都市空間の活用やコミュニケーションのあり方にも新たな可能性を感じさせます。
また、JFL昇格という高い壁に挑むSHIBUYA CITY FCのストーリーと、街に集まる人々の“決意”を重ねている点も、この施策の特徴のひとつといえそうです。スポーツクラブの挑戦を軸にしながら、渋谷という都市そのものをメディアとして活用する発想は、広告、アート、コミュニティが交差する新しい都市体験として印象を残します。
こうした試みが、渋谷の街でこれからどんな広がりを見せていくのか、今後の展開も楽しみになるところです。

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