都庁で始まる電池回収 AI分別ボックス「Weecle」が資源循環を後押し

使わなくなった携帯電話やモバイルバッテリーが、家の引き出しにしまわれたままになっている人は少なくないかもしれません。小型充電式家電には、金や銀、銅、レアメタルなどの有用金属が含まれる一方、リチウムイオン電池の不適切な廃棄による発火事故も社会課題になっています。

そうした中、株式会社フォーステックは、東京都が実施する「東京鉱山から資源を掘り起こし~都庁舎リチウムイオン電池回収キャンペーン~」にKDDI株式会社とともに参画し、2026年6月26日から東京都庁舎でAI自動分別リサイクルボックス「Weecle」の運用を開始しました。国内初設置となる取り組みです。

小池都知事も参加した実機デモ

運用開始初日には、東京都庁第一本庁舎でオープニングイベントが行われました。イベントには小池百合子東京都知事も参加し、「Weecle」の実機デモンストレーションが実施されました。

デモでは、小池都知事が携帯電話を投入し、「Weecle」がAI画像認識によって対象品目を判別・分別する様子が紹介されました。目の前で回収の流れを見せることで、リチウムイオン電池を含む小型家電を適切に分別する必要性が、より身近に伝わる場になったといえそうです。

今回の活用は、東京都スタートアップ戦略推進本部が今年度から実施している「課題即応型官民協働ブーストアップ事業」の第1号案件にも位置づけられています。行政と企業が連携し、生活の中にある資源循環の課題に取り組む動きとしても注目されます。

家庭に眠る小型家電を都庁で回収

「Weecle」が設置されるのは、都庁第一本庁舎1階南側の全国観光PRコーナー横です。設置期間は2026年6月26日から9月30日までで、午前9時から午後5時まで、土日祝日を含めて利用できます。

回収対象は、家庭に保管されている小型充電式家電です。投入口に入るサイズは23.5センチ×21センチ×33センチ以内とされています。使用済み携帯電話やスマートフォン、モバイルバッテリー、加熱式たばこ、デジタルカメラ、ハンディファン、ワイヤレスイヤフォン、ゲーム機、電動歯ブラシ、電気シェーバーなどが例として挙げられています。

家に置いたままになりがちな小型機器を、都庁という公共性の高い場所で回収する点も特徴です。「いつか処分しよう」と思いながら後回しになっていたものを、外出のついでに見直すきっかけにもなりそうです。

AI分別と耐火容器で安全性に配慮

「Weecle」は、フォーステックが日本展開を行うAI自動分別リサイクルボックスです。AI画像認識による自動判別機能を備え、95%以上の精度で自動分別を行うと紹介されています。資源物を適切に回収・分別するための支援に加え、通信機能によって容量レベルや回収状況を可視化できる点も特徴です。

回収業務の効率化や、回収した資源物に関するデータの収集・活用にもつながる仕組みです。本体には50インチのデジタルサイネージが一体的に搭載され、回収対象品目や投入方法などを利用者に案内できます。

また、資源物を収容する内箱には耐火性の高いステンレス製の特製容器を採用し、特製消火フィルムも貼付されています。リチウムイオン電池を扱う回収では、安全面への配慮が欠かせません。分別のしやすさと安全性を合わせて考えた設計といえます。

各社の役割で支える資源循環

今回の取り組みでは、東京都と新宿区が都庁での実施と都民への周知を担います。フォーステックはAI自動分別回収ボックスの提供と運用支援を行い、KDDIは使用済み携帯電話・スマートフォンの回収・リサイクルと合同イベントを担当します。

さらに、VOLTAはモバイルバッテリー、加熱式たばこ、その他のリチウムイオン電池や内蔵製品の回収・リサイクルを担います。回収対象が幅広いからこそ、複数の主体が役割を分担することが、実際の運用を支える土台になっているようです。

また、KDDI主催の「おもいでケータイ再起動」も同会場で開催されます。充電できなくなった古い携帯電話を再起動し、端末に残る写真などの思い出を振り返ることができるイベントです。実施期間は2026年6月27日から29日までで、参加費は無料、予約制となっています。

対象は、電源が入らなくなった、バッテリーを外せるタイプの古い携帯電話です。スマートフォンやタブレット端末は対象外ですが、思い出を確認したうえで手放す流れは、回収への心理的なハードルを下げる機会にもなりそうです。

身近な回収拠点が選択肢を増やします

リチウムイオン電池を含む製品は、便利な日用品である一方、処分方法を誤ると事故につながる可能性があります。今回の都庁での取り組みは、そうしたリスクを伝えるだけでなく、実際に持ち込める場所と仕組みを用意している点が印象的です。AIによる分別や回収状況の可視化は、利用者にとっても運営側にとっても、回収を続けやすくする要素になるかもしれません。フォーステックは今後、駅やコンビニ、商業施設など日常的に立ち寄りやすい場所への展開を進める方針です。家庭に眠る小型家電をどう循環させるか、その入口が少しずつ身近になっていくことが期待されます。

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