地域の可能性は現地で見える、県外企業5社が巡った鳥取市の産官学金共創ツアーの2日間

地域で生まれている新しい事業や支援の仕組みは、資料だけでは見えにくいものです。どのような人が動き、企業や行政、金融機関、大学がどう関わっているのか。実際に現地を訪れることで、数字や制度の説明だけでは伝わらない地域の空気や、連携の可能性に気づくこともあります。

東京にこだわらない生き方を発信するシビレ株式会社は、鳥取市とともに「地域共創・ビジネス交流ツアー」を2026年7月7日、8日の2日間にわたって開催しました。関東・中部・近畿地方から、IT・農業・まちづくり分野などに携わる企業5社、計6名が参加。中心市街地や農業関連企業、銀行、大学を巡りながら、鳥取市での事業展開や協業の可能性を探りました。

県外からは見えにくい鳥取市の事業環境

鳥取市では、製造業や農業、宇宙産業、ITなど、地域の資源や技術を生かした幅広い事業が展開されています。また、行政だけでなく、企業、大学、金融機関が連携し、企業支援や地域課題の解決に取り組む環境も整えられています。

一方、こうした地域の動きや支援体制は、県外の企業には十分伝わりにくいという課題があります。今回のツアーは、現場の視察や地域の事業者との交流を通じて、参加企業が鳥取市の特徴を直接知り、新規事業や実証実験、協業などの接点を見つける機会として企画されました。

まちなかの変化と新たな交流拠点を体感

初日は鳥取市職員の案内のもと、中心市街地を視察しました。参加者は、遊休不動産をリノベーションした店舗や駅周辺を巡り、中心市街地の活性化策、企業誘致の方針、農業分野への企業参入事例、助成制度などについて説明を受けました。

続いて、同日にグランドオープンした「鳥取市まちなかビジネス共創スクエア カトカミ」のオープニングイベントへ参加。入居企業や市内事業者との交流を通じて、カトカミを起点に生まれつつある新しい事業や、人と企業を結ぶ拠点としての役割に触れました。

地域資源と技術が出会うスマート農業の現場

2日目は、ICTを活用したスマート農業に取り組む愛ファクトリー株式会社と株式会社メイワファームHYBRIDを訪問しました。

愛ファクトリーでは旧校舎を活用した野菜やメロンの水耕栽培、メイワファームHYBRIDでは温泉熱を利用したいちご栽培を見学。使われなくなった施設や地域にある熱資源を、テクノロジーと組み合わせて事業に生かす現場です。地域資源を新しい角度から捉えることで、産業の選択肢を広げられることが伝わってきます。

銀行と大学を含む「地域全体」の支援体制

株式会社鳥取銀行では、鳥取市で考えられるビジネス機会や進出企業への支援に加え、「株式会社とりぎん未来共創キャピタル」の取り組みが紹介されました。

鳥取大学では、学部や分野を横断した活動、企業との共同研究、地域課題をテーマにした実践的な教育について説明を受けました。ツアーの最後に行われた意見交換では、行政に限らず、銀行や大学を含む「鳥取市全体」で企業を受け入れる環境を評価する声が寄せられています。地域の関係者が積極的かつ柔軟に対応していた点も、参加者の印象に残ったようです。

現地を知ることから始まる継続的な共創

地方での事業展開を考える際、支援制度の充実はもちろん重要ですが、相談できる人や協力先と実際に出会えるかどうかも、大きな判断材料になります。今回のツアーでは、中心市街地の変化、地域資源を生かした農業、金融機関による企業支援、大学との共同研究という異なる要素を2日間で体験できました。個別の施設を見るだけでなく、それぞれが地域の中でどのようにつながっているのかを知れた点が印象的です。

シビレ株式会社と鳥取市は、今後も事業連携や実証実験、拠点設置などにつながる関係づくりを進めるとしています。第2回は2026年11月5日、6日に、IT・宇宙関連・ものづくり分野を中心とした5社程度での開催を予定。地域共創は、すぐに成果を求めるものではなく、まず現地を訪れ、人と話し、互いの強みを知るところから始まるのかもしれません。

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