
環境や地域課題への取り組みは、行政や企業だけで進めるものではなく、学生の視点や行動が加わることで新たな広がりを生むことがあります。千葉大学と京葉銀行による「ecoプロジェクト」も、そうした可能性を感じさせる取り組みのひとつです。2017年のスタート以来、学生主体で企画や実践を重ねながら、地域とつながる活動を継続してきました。
2025年度報告会では、この1年間の活動成果が共有されるとともに、学生たちが手がけた多彩な環境貢献企画が紹介されました。子ども向けの学びの場づくりから、高齢者との交流、バリアフリーへの取り組みまで、そのテーマは幅広く、環境活動という枠を超えた地域共創の広がりも感じさせます。
特に印象的なのは、こうした活動が一過性ではなく、産学連携の仕組みの中で積み重ねられている点です。学生のアイデアが実践につながり、それが地域との接点を生み、次の活動へとつながっていく。今回の報告会からは、そうした循環のかたちも見えてきました。
2017年から続く「ecoプロジェクト」とは
千葉大学環境ISO学生委員会と京葉銀行による「ecoプロジェクト」は、2017年にスタートした産学連携プロジェクトです。「7色の虹を千葉から未来へ」をコンセプトに、環境や地域課題に向き合う活動を継続してきました。
特徴的なのは、活動の主体が学生にあることです。大学での学びを実践へつなげる場として、企画立案から運営まで学生が関わり、京葉銀行がその活動を支援するかたちで取り組みが進められています。
環境保全にとどまらず、地域との関係づくりや社会課題へのアプローチも含めて活動領域が広がってきた点も、本プロジェクトの特徴といえそうです。2026年度には10周年を迎える節目も控えており、継続的な取り組みとしての歩みにも注目が集まります。
2025年度は62名が参加 学生主体で広がる活動

2025年度は62名の学生が参加し、さまざまな活動が展開されました。
国内外の環境会議への参加支援では、マレーシアやタイ、沖縄、北海道などでの学びの機会が設けられ、学生たちは現地で得た知見を今後の活動にもつなげています。
また、企業の「エコアクション21」認証取得を支援するコンサルティングにも取り組み、3社を支援、うち1社が認証取得に至ったことも報告されました。学生が知識を学ぶだけでなく、実践を通じて社会と関わる場となっている点がうかがえます。
こうした既存施策に加え、学生発案による環境貢献企画も展開され、活動の幅はさらに広がりを見せています。
地域とつながる7つの環境貢献企画
今回の報告会では、学生たちが発案・実践してきた7つの環境貢献企画も紹介されました。環境保全にとどまらず、教育や福祉、地域交流までテーマが広がっている点も特徴です。それぞれの取り組みを見ていくと、学生主体の活動が地域と多様な接点を持ちながら展開されていることがうかがえます。
Let's Study SDGs

小中学校など9校で実施された企画で、子どもたちにSDGsについて学ぶ機会を提供する取り組みです。学生が主体となって授業づくりに関わり、身近なテーマから環境や社会課題を考える場づくりにつなげています。
こどもエコまつり

年2回開催された企画で、遊びや体験を通じて環境について親しみながら学べるイベントとして実施されました。子どもたちや地域住民との交流の場にもなっています。
古着市

資源循環をテーマに開催された古着市は6回実施され、600人を超える来場者が参加しました。リユースを身近な行動として考えるきっかけづくりにつながる企画です。
ダイバーシティ企画

多様性への理解を深めることをテーマに展開された企画です。環境課題に限らず、社会との関わりの中で考えるべきテーマにも取り組んでいます。
紙芝居企画

紙芝居を通じて環境や社会課題を伝える企画で、わかりやすく親しみやすい形で情報発信を行う取り組みです。世代を問わず参加しやすい点も特徴です。
バリアフリー企画

新たな企画として実施された取り組みで、バリアフリーへの理解を深めることを目的としています。多様な人が暮らしやすい地域づくりを考えるテーマとして位置づけられています。
高齢者向け企画
ボッチャ交流などを通じて高齢者とつながる企画も展開されました。世代間交流の機会づくりとして、地域との関係性を育む取り組みとなっています。
7つの企画を通して見えてくるのは、環境活動を入り口にしながら、その先にある地域とのつながりや社会課題への関心にも視野を広げている点です。学生発のアイデアが、実践を通じてかたちになっている様子もうかがえます。
学生と企業のつながりを深めた交流会

2025年度の取り組みとして、学生委員会と京葉銀行による交流会も実施されました。8月に開催された交流会には28名の学生が参加し、プロジェクトを支える関係づくりと、金融教育の機会として展開されました。
当日は「投資の本質を知り、実践に活かそう」をテーマに金融講座も実施され、投資の基本的な考え方や、NISA・iDeCoなどの制度について紹介されました。あわせてワークショップも行われ、実践的な視点で投資について考える機会にもなったようです。
環境活動に加え、こうした学びや交流の場が設けられている点も、本プロジェクトの特徴のひとつといえそうです。
広がる発信と高まる評価 活動成果を伝える広報活動と表彰

活動そのものに加え、その成果を広く発信する取り組みも進められました。2026年1月には、千葉県主催の「令和7年度SDGsセミナー」において、優良事例として「千葉大学×京葉銀行ecoプロジェクト」が紹介され、学生と京葉銀行担当者が活動内容を発表しました。
当日は27の企業・団体が参加し、学生主体で継続するSDGs活動や産学連携の実践に対して高い関心が寄せられたといいます。教育現場や地域連携への展開、企業活動への応用可能性にも期待の声が上がり、新たなつながりが生まれる機会にもなったようです。

また、本年度は関連する取り組みで3件の賞を受賞したことも報告されました。
「Let's Study SDGs」による活動では、サステイナブルキャンパス賞の学生活動部門で大賞と特別賞を受賞。加えて、企業との連携プロジェクトの発表により、ASCN年次大会 Silver-Level Awardも受賞しています。
さらに連携先である京葉銀行も、多様性社会推進の取り組みが評価され、千葉県知事賞を受賞しました。
広報活動とこうした評価の積み重ねからは、本プロジェクトが学内にとどまらず、社会的な広がりを持つ取り組みとして認識されていることもうかがえます。
学生発の取り組みが地域とのつながりを育む「ecoプロジェクト」
今回の報告会を通じて見えてきたのは、環境活動を単なる学びにとどめず、地域との関わりのなかで実践へとつなげている「ecoプロジェクト」の広がりです。7つの環境貢献企画をはじめ、交流会や広報活動など、多面的な取り組みが展開されていることからも、継続的な活動として積み重ねられてきた様子がうかがえました。
学生のアイデアを起点に、地域や企業と接点を持ちながら活動が形になっている点も、このプロジェクトの特徴といえそうです。環境というテーマを入り口にしながら、教育や福祉、多様性といった幅広いテーマへ広がっている点にも印象が残ります。
活動の実践だけでなく、その成果を発信し、評価へとつなげている点も含めて、本プロジェクトは地域とともに育まれてきた取り組みのひとつといえそうです。こうした活動が今後どのように広がっていくのか、その歩みにも関心が寄せられそうです。

