ランニングで心を整理、205人がモヤモヤを投函した体験型イベント「モヤ晴れRUN」

仕事や人間関係、将来への不安など、日々の暮らしの中で生まれる小さな「モヤモヤ」。誰かに話すほどではないと感じたり、忙しさに追われて後回しにしたりしているうちに、自分でも気づかないまま抱え込んでしまうことがあります。深刻な悩みになる前に、自分の気持ちへ目を向ける機会を持つことは、心を整えるための身近な一歩といえそうです。

そうしたきっかけを、ランニングと書く行為によってつくる体験型イベントが行われました。法人向けオンライン対人支援プラットフォームを運営する株式会社Smart相談室は、ランニングステーション「Re.Ra.Ku PRO 竹橋皇居前店 ランニング&ボディケア」と連携し、2026年10月9日から11日まで「モヤ晴れRUN 〜走って書いて、心スッキリ〜」を開催。3日間で延べ205人が、自身のモヤモヤをハガキに書いて投函しました。

走る時間と気持ちを書き出す体験の組み合わせ

イベントの会場となったのは、皇居周辺を走るランナーが利用する「Re.Ra.Ku PRO 竹橋皇居前店」です。施設の入口には、誰でも気軽に悩みや気になることを書いて投函できる「スマソウポスト」が設置されました。

参加者はランニングを楽しんだ後、そのとき感じているモヤモヤを専用のハガキに書き出し、ポストへ投函します。身体を動かす時間と、言葉にして気持ちを整理する時間をひとつの体験として組み合わせている点が特徴です。

「モヤ晴れRUN」の装飾が施されたRe.Ra.Ku PRO 竹橋皇居前店の受付
モヤモヤを書いたハガキをスマソウポストへ投函する様子

投函した人には、イベントのオリジナルドリンク「ソーダんソーダ」がプレゼントされました。ランニングで身体を動かし、ハガキへの記入と投函を通じて自分の気持ちに向き合い、最後に冷たいソーダでのどを潤すという流れです。身体を動かす感覚や、書いて気持ちを外へ出す体験、ドリンクの味わいまでを組み合わせ、五感を通して心身のすっきり感を得られるよう工夫されました。

投函した参加者へプレゼントされたオリジナルドリンク「ソーダんソーダ」

更衣室や館内には、ランニング中や走り終えた後に、自分の気持ちへ意識を向けるためのメッセージも掲示されました。身体を動かして感じたことや、翌日に楽しみにしていることなどを問いかけ、普段は見過ごしがちな心の動きを振り返れるよう工夫されています。

店内の窓に掲示された心のモヤモヤを振り返るメッセージ

相談というと、誰かに悩みを詳しく話す場面を思い浮かべるかもしれません。しかし、まずは自分の中にある気持ちに気づき、言葉にしてみることも、その入り口のひとつです。走る、書く、投函するというシンプルな流れによって、相談やセルフケアを身近な行動へ置き換えた取り組みとなりました。

205人の投函から見えた働く世代の悩み

3日間の開催期間中、「スマソウポスト」へハガキを投函した人は延べ205人に上りました。年代別では20代が24.4%で最も多く、30代が12.7%で続きました。20代と30代からの投函が目立ち、若い世代も自分の気持ちを書き出す体験に参加していたことが分かります。

投函された内容で多かったのは、仕事に関するモヤモヤでした。マネジメント経験を積む機会や、AIによって仕事が変化することへの不安、転職後の新しい環境に適応できるかといった声が寄せられています。

そのほか、健康や運動、マラソン大会に関する悩みも見られました。ランニングステーションという会場の特性が表れる一方で、仕事や将来、健康といった日常生活に近いテーマが並んでいます。悩みの大きさや種類にかかわらず、言葉にする場所が用意されたことで、普段は表に出にくい気持ちも、ハガキを通じて形になったといえそうです。

ランニングが交流や対話の時間にも

イベント初日にはメディア向け発表会が行われ、株式会社メディロム代表取締役CEOの江口康二氏、Smart相談室のアスリート応援プロジェクトが支援する元マラソン選手・箱根ランナーの涌井圭介氏、Smart相談室代表取締役・CEOの藤田康男氏の3人が登壇し、トークセッションを行いました。

江口氏は、近年のランナーがタイムだけを追求するのではなく、交流や対話を重視するようになっていると説明。若い世代の間では、飲み会に代わって一緒に走りながら話をしたり、ランニングをビジネス上の対話の場として活用したりする動きもあると紹介しました。

ランニングは一人で集中できる運動であると同時に、誰かと並んで走れば、自然な会話が生まれる時間にもなります。向かい合って話す場とは異なる距離感が、日頃は話しにくいことを伝えるきっかけになるのかもしれません。

涌井氏は、けがからの回復期における自身の経験を振り返り、身体だけでなく心の状態にも目を向けることの大切さに言及しました。身体を動かすことに加え、必要に応じて専門家など第三者へ相談するという、複数の方法を持つことが紹介されています。

「モヤ晴れRUN」の発表会でスマソウポストを囲む登壇者3人

「相談する前」の小さな行動を身近なものに

Smart相談室のロゴ

Smart相談室は、悩みを相談することに抵抗を感じる人が少なくない中、メンタル不調を未然に防ぐためには、相談しやすい文化や環境をつくることが重要だとしています。今回のイベントでは、いきなり誰かに話すことを求めず、まずは走り、自分の気持ちを書き出す方法が採用されました。

誰かに相談することが難しいときでも、一人で身体を動かす、ノートや紙に思いを書いてみるといった行動なら、取り入れやすい人もいるでしょう。一方で、ランニングや書く行為だけですべての悩みが解決するわけではありません。つらさが続く場合には、身近な人や専門家、相談窓口などに助けを求めることも大切です。

走る、書く、話すという複数の選択肢

「モヤ晴れRUN」で印象的なのは、心のケアを特別なものとして構えず、ランニングという日常的な活動の中へ取り入れた点です。205人が投函したハガキからは、仕事や将来、健康など、年代を問わず抱きやすい悩みが見えてきました。同時に、誰かへ相談する前にも、走る、書く、自分の気持ちに気づくという小さな段階があることを示しています。

心を整える方法は一つではありません。一人で静かに考えることが合う人もいれば、身体を動かすことや、誰かと話すことで気持ちを整理できる人もいます。自分に合う方法をいくつか持ち、必要なときには周囲や専門家を頼る。今回の取り組みは、そんな無理のないセルフケアと相談への入り口を、身近な場所から考える機会になったといえそうです。

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