「ギャル課」が地域の魅力を再発見 江津市と企業が挑む官民連携による新しい地方創生

人口減少や少子高齢化が進む地域では、そこに暮らす人が当たり前だと思っている風景や文化を、外からの視点で見つめ直すことが新たな一歩になる場合があります。ただ、地域の魅力を掘り起こしても、誰に、どのような言葉で届けるのかは簡単ではありません。若い世代との接点づくりや、地域内で前向きな意見を交わせる場づくりも、まちの未来を考えるうえで大切なテーマになっています。

そんな中、ギャルマインドを活用した企業支援などを手がける株式会社CGOドットコムは、島根県江津市と地域活性化に関する連携協定を締結しました。協定締結に合わせて発足したのが、ギャルの率直でポジティブな視点をまちづくりに生かす「ギャル課」です。活動の第一弾では市民や事業者、市職員とともに新しい江津土産のアイデアを考え、地域の魅力を商品と情報発信の両面から見直す取り組みが始まりました。

市役所に誕生した常設部署ではない「ギャル課」

連携協定の締結日は2026年8月18日です。江津市役所で開かれた記者会見では、江津市の中村中市長と、CGOドットコムの総長 バブリーさんが登壇。協定の調印式に加え、「江津市×ギャルマインドで町はどう変わる?」をテーマにしたクロストークも行われました。

「ギャル課」は、市役所内に設置される常設部署ではありません。ギャルマインドが持つ「自分軸」「直感性」「ポジティブ思考」を生かし、江津市の魅力を再発見して発信するプロジェクトチームです。

地域の内側では、立場や世代を越えて前向きに話せる雰囲気を育て、外側に向けてはギャルならではの発信で若い世代との接点をつくることを目指しています。ユニークな名称で関心を集めながら、地域内外に変化を生み出そうとする取り組みです。

大きな反響から見えてきた若い世代との接点

記者会見の様子は、NHKや地域のテレビ局、新聞、ラジオなどで取り上げられました。中村市長は、就任から4年あまりの中でも特に大きな反響があり、SNSでは市民から歓迎する声も寄せられたと説明しています。

江津市は人口減少や少子高齢化という課題を抱える一方、若者の起業や新たな挑戦を官民で後押ししてきた地域でもあります。中村市長は、否定から入らず、まず挑戦してみようとするギャルマインドが、地域の魅力を新しい視点で輝かせる力になると期待を寄せました。

一方、総長 バブリーさんは、江津市の人々が新しい提案を前向きに受け止めてくれたことに触れています。新しい土産についても、単に「ギャルらしい商品」を作るのではなく、江津市の歴史や文化、人の魅力を生かし、まだ江津を知らない人がまちについて語り始めるようなコミュニケーションツールにしたいとコメントしました。

「何もない」から始まった江津お土産作戦会議

記者会見翌日の8月19日には、ギャル課の活動第一弾となる「ギャル式®ヒアリング:江津お土産作戦会議」が行われました。地元の青年会議所や商工会、市内事業者、市職員、ギャル課のメンバーが一つのテーブルを囲み、新しい江津土産のアイデアを出し合いました。

会議で用いられた「ギャル式ブレスト®」は、忖度のない本音の対話を促し、組織内の心理的安全性を高めることを目指すプログラムです。CGOドットコムによると、これまでに130社以上へ導入されています。

対話の冒頭では、参加者から「江津には何もない」という声も聞かれました。しかし、ギャル課のメンバーと話を重ねるうちに、「何もないことが逆に魅力ではないか」「実は魅力的なコンテンツが多くある」といった気づきが生まれたといいます。当初はアイデアが浮かばなかった参加者から、最後には「この土産を道の駅で売りたい」という声も上がりました。

失敗談や石見神楽を生かした土産づくり

作戦会議では、江津市の特徴をさまざまな角度から捉えた案が出されました。その一つが、地域の人々の「失敗談」を載せる土産です。失敗を否定せず、何度でも挑戦できるまちの姿を、地域の人々のエピソードとともに伝える案となっています。

伝統芸能の石見神楽を生かし、神楽をあしらったパッケージや、登場人物のトレーディングカードを付ける案も出ました。地域で受け継がれてきた文化に、若い世代にも親しみやすい表現を組み合わせる発想です。

新しい江津土産は、今後、市内事業者とともに企画・開発が進められます。完成した商品は、2026年12月12日と13日に開催される「52未来プロジェクト2026」で披露され、会場で販売される予定です。その後は江津市のシティプロモーションにも活用し、ギャル課の活動も来年度以降の展開を見据えて続けられます。

地域にある魅力を一緒に見つけ直す官民連携

「ギャル課」という親しみやすい名前の奥にあるのは、外から来た人が答えを決めるのではなく、地域の人と同じテーブルを囲み、すでにある魅力を一緒に見つけ直す姿勢です。「何もない」という言葉から始まった対話が、最後には「道の駅で売りたい」という声へ変わったことは、その過程を象徴しているように見えます。ギャルの感性を加えること自体が目的ではなく、世代や立場を越えて本音を出しやすくし、地域の歴史や文化を新しい表現へつなぐ点に、この官民連携の特徴があります。土産が完成して終わるのではなく、それをきっかけに江津市を知り、訪れ、誰かに話したくなる流れが生まれるかどうかも注目したいところです。12月のお披露目に向けて、石見神楽や地域の失敗談といったアイデアが、どのような商品に育っていくのか楽しみです。

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